2019年2月13日水曜日

【FGO百合SS】06話「司書と叛逆騎士の小噺#2」【紫モー】

■あらすじ
モードレッドの頭を撫でる紫式部のお話。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order 紫式部 モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第6話

06話「司書と叛逆騎士の小噺#2」


「あっ、またいらしてる」

 返却された冊子を本棚に戻している途中、視界の隅に映ったモードレッドに意識が向き、自然と頬が綻ぶ紫式部。
 あれから色々な書物を読み漁り……と言ってもモードレッドが喜んで読み漁るのは当世の漫画ばかりだったが……その都度紫式部は彼女と言の葉を交わし、いつの間にかモードレッドにお勧めする書物を探し出す玄人になりつつあった。
 今日はまだ言葉を交わしていないが、モードレッドは既にテーブルに付いて読書を始めている。ただ、遠目に眺めていたので初めは気づかなかったが、暫く観察していると、頁が一向に捲られていない事に気づいた。
 不審に思って近寄ると、頁を開いたままモードレッドは船を漕いでいた。
 いつもは呵々大笑して紫式部に幾度も「お静かに!」と苦言を言われるぐらいに楽しそうに読書に励んでいた彼女が何故……? と思って冊子に視線を落とすと、そこには当世の絵巻は全く描かれていない、活字だけの世界が広がっていた。
 サッと目を通すだけで分かる。アーサー王伝説を著した作品の内の一冊だ。その冒頭……一頁目から進んでいない。
 目の前まで見に来ても、モードレッドは目を覚ます様子も無く「くかー」とそれはもう快眠そのものの寝息を立てて涎を垂らしている。
 紫式部はそんなモードレッドを可愛く思い、涎が書物を汚さないように袖で口元を拭うと、静かにその場を後にし、毛布を持ってきて、起こさないようにモードレッドの体に掛けた。
 あどけない子供のような寝顔を晒すモードレッドにくすりと微笑むと、紫式部は彼女の頭を慈しむように撫でて、暫く呆っとしていた。
 この無邪気な少女こそが、アーサー王の伝説に於ける、叛逆の騎士などと、初見で誰が信じられようか。
 ……尤も、サーヴァントとはそういうものだ、と言う知識が無い訳ではない。紫式部はぼんやりとそんな事を考えながら、いつの間にかモードレッドの艶やかな黄金色の髪を梳いている自分に気づいた。
 これはモードレッドに気づかれては怒鳴られてしまう――と、慌てて手を引っ込めて、司書の仕事に戻ろうとして――思いっきり腕を掴まれて、心臓を吐き出す所だった。
 当然、この場には二人のサーヴァントしか存在しない。紫式部の細腕に噛みついた手は、半眼で睨み据えるモードレッドのものだった。
「あ、あの、ご、ごめんなさ――」「……続けろ」「ごめんなさい――……え?」
 半眼で睨み据えられてはいたものの、モードレッドの瞳に敵意は無く、ジト、とした視線で紫式部を貫くだけで、何故か頬に朱色が差しているように映った。
 困惑して動きが固まっている紫式部に、モードレッドは唇を尖らして、続けた。
「……頭を撫でる事を、許す」ボソリと呟き、ジロリと紫式部を睨み据えるモードレッド。「……誰もいない今だけだけどな」
「……えと、頭、撫でて欲しいんですか……?」
「……他に何て聞こえたんだテメエ?」
 暫しの間を置いて、互いに気恥ずかしさで居た堪れなくなるも、紫式部は小さく空咳をして、「で、では、僭越ながら、頭を撫でさせて頂きます……」と、おっかなびっくりの態でモードレッドの頭を撫で始めた。
 モードレッドはそれを誇らしげに甘受し、その後そのシーンを目撃したマスターを撫で切ったとか何とか。

【後書】
 爆 死 し ま し た 。
 やー、お迎えならずでしたね! チクセウ!! 諭吉がアズライールされた…
 と言う訳でこちらの紫モー短編は祈願短編ではなく、記念短編と相成りました! (つд⊂)エーン
 さて本題。モーさんって頭撫でられるのに慣れてなさそう…と言いますか、式部お姉さんにヨシヨシされてるモーさんとかなにそれかわいい…と思って綴った短編がこちらになります。モーさんも恥ずかしいと思いながらも、こんな優しくされるの初めて…みたいな感じで(*´σー`)エヘヘしてるともー堪りませんね!w
 てな訳でこちらもまた機会が有りましたら、続きと言いますか、また新たに短編を綴ってみようと思います! ではでは、ここまでお読み頂きまして有り難う御座いました~♪

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