2019年2月16日土曜日

【FGO百合SS】07話「貴女と友達になりたくて#5」【エレモー】

■あらすじ
エレシュキガルとモードレッドのバレンタイン。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order コメディ ギャグ エレシュキガル モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。
Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第7話

07話「貴女と友達になりたくて#5」


「モーちゃん! 今日は何の日か知ってるかしら!?」

 モードレッドの部屋に突然押し掛けたエレシュキガルに、部屋の主は胡散臭そうな視線を投げるだけで、それ以上の反応を返さなかった。
「そう! 今日はバレンタインなのだわ!」ビシッとモードレッドを指差すエレシュキガル。
「おう、今日はやたらテンションたけーなお前」呆れた様子のモードレッド。「バレンタイン……って、あぁ、そう言や今朝マスターともそんなやり取りしたっけか。チョコ食べる奴だろ?」
「チョコを渡して! 想いを伝える日なのだわ!!」鼻息荒く宣言するエレシュキガル。
「分かった、分かったから一旦落ち着けよ」どうどうと宥めるモードレッド。「アレか? エレ公もマスターに今から渡してくる奴か?」
「そ、そうじゃなくて……あのね、モーちゃん」モードレッドを正視するエレシュキガル。「バレンタインには、友チョコ、って風習も、有るの」
「友チョコ?」理解に至ってない顔のモードレッド。「ダチがチョコなのか?」
「えぇもうそこから理解できてないの……?」モダモダし始めるエレシュキガル。「えぇと、マスターの国では、女性が男性に……で、ドイツでは男性が女性に渡すのが本来のバレンタイン……らしいのですけれどね? 当世では、女性が女性にチョコを渡す、友チョコと言うのが有るらしいのだわ!」
「へぇ~。もう何でも良いんだなチョコ食えれば」ぞんざいに耳を穿り始めるモードレッド。「そんなに食いたいもんかね、チョコ」
「あっ。……も、もしかしてモーちゃんは、その……チョコ、好きじゃなかったり……するのかしら……?」突然表情が暗澹とするエレシュキガル。
「は? 好きだけど」訳が分からない様子でメンチを切り始めるモードレッド。
「ほっ……」ほぅーっと安堵の満ちた蕩け顔で吐息を零すエレシュキガルだったが、すぐに表情を改めて空咳を挟んだ。「え、えぇとね、モーちゃん。ほら、私達その……友達、じゃない? だから、えぇと……」一頻りもじもじした後、エレシュキガルはラッピングされた小箱をモードレッドに手渡した。「こ、これ! 日頃の想いを込めて、作ったのだわ!」
「お、おう」素直に受け取り、ラッピングされた小箱を見下ろすモードレッド。「何かよく分かんねえけど、ありがとな」
「う、うん……あっ、味はマスターが、その、保証してくれてるから、大丈夫だと思うけど……口に合わなかったら、その……」
 エレシュキガルの話を無視してラッピングを乱暴に剥がしていくモードレッド。中には、槍檻の形を模したチョコが入っていた。
「あぁー! わ、私が帰ってからにして欲しいのだわ!!」赤面してわちゃわちゃし始めるエレシュキガル。
 狼狽するエレシュキガルを無視して槍檻型のチョコを銜えるモードレッド。
 ぼりぼりと音を立ててチョコを噛み砕くモードレッドに、エレシュキガルは赤面したまま硬直してしまっていた。
「うん、うめーな」一つ食べきると、すぐに新しい槍檻型のチョコに手を伸ばすモードレッド。「お前菓子作りも出来るんだな、やるじゃん」
「えっ、あっ、えと、」突然の賛辞にエレシュキガルは更に狼狽を濃くし、ワタワタと手を彷徨わせた後、蕩けるような笑みを浮かべて、「えへへ……」と嬉しそうな声を漏らした。
「つーか、それってもしかしてオレもチョコ渡さねえといけねえ奴じゃねえか?」
 一頻り槍檻型のチョコを貪ったモードレッドは、指に付いたチョコを舐め取りながら、怪訝に声を落とした。
 それに対してエレシュキガルは慌てて手を振って、「べ、別に気にしないのだわ! 私が、送りたくなっただけですもの!」と苦笑いを返したが、モードレッドは意に介さず立ち上がり、戸棚から小さな菓子箱を取り出した。
「ん、これで良いか?」とエレシュキガルに手渡したのは、封が切られた後の市販品のチョコの一つ。「他にチョコねえんだ。これで良いか?」
「……!」恭しくモードレッドから市販品のチョコを受け取ったエレシュキガルは、瞳を爛々と輝かせて、嬉しそうにチョコを抱き締めた。「あ、ありがとう! これ、大事にしまっておきます!」
「いやすぐ食えよ。もう封、切られてんだぞ」呆れた様子のモードレッド。
「えへへ……まさかすぐにお返しが貰えるなんて思ってなかったのだわ……えへへ……」嬉しそうに頬を紅潮させるエレシュキガル。「じゃ、じゃあ用事は済んだから、私はこれで」
「あ、ちょっと待てよ」ドアを抜けて廊下に出たエレシュキガルの背に声を掛けるモードレッド。
「?」ドア越しに振り返るエレシュキガル。
「また作ってくれよ、チョコ」気恥ずかしげにそっぽを向いて呟くモードレッド。「美味かったからよ」
「……!」パァーッと顔を華やがせるエレシュキガル。「も、勿論なのだわ!」
「おう、じゃあまたな」
「ええ、またね!」
 二人して、どこか熱い頬を見せ合うと、バレンタインは幕を閉じた。
 その後モードレッドはフランケンシュタインに槍檻型のチョコを自慢し、エレシュキガルはイシュタルに市販品のチョコを自慢しに行って呆れられるのだが、それはまた別の話……

【後書】
 バレンタイン短編! 案の定遅刻しましたがお届けデース!
 地味に「エレ公」「モーちゃん」呼びを定着させましたが、基本捏造しかしないマンなのでね、ゆるしてんこ盛り!w
 互いにちょっぴり意識してる感じを出したかった…こう、見てるこっちがモダモダする系の百合が好き…
 と言う訳で今年のバレンタインはエレモーで! もう君達すっかり友達だよ! 仲良くしろよな!!

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