【神否荘の困った悪党たち】第６３話 神否荘の夏休み最後の日AM:07:00【オリジナル小説】

■あらすじ
ニャッツさんがんばえ～。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常　コメディ　ギャグ　ほのぼの　ライトノベル　現代　男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第６３話

---

第６３話　神否荘の夏休み最後の日AM:07:00


「てか何の手掛かりも無しに奈子ちゃん探すのって無謀じゃないです？」

　朝七時のお外はちょっぴり涼しかった。
　俺はくぅくぅ眠るニャッツさんを抱えて、お供に来てくれたメイちゃんに顔を向けた。
　メイちゃんは俺と視線を合わせて、「問題は発生しておりません」と、眼球をキュイキュイ言わせて応じてくれた。ちょっと怖いね。
「メイの超万能センサー“見つける君ヴァージョン捌”の稼働により、奈子様の発見は即時可能です」
「えぇー、じゃあ俺じゃなくてメイちゃんだけでいいのでは……」俺何のためにここにいるの？？
「亞贄様には奈子様との交渉役をお願い致します」ペコリと綺麗なお辞儀をするメイちゃん。「メイの交渉術では周辺一帯が焼け野原になる確率が七十八点九パーセント有ります」交渉下手過ぎでしょ……
「うーん、そうだね、焼け野原にされたら皆困るし、俺頑張っちゃうよ」突然この辺一帯の平和が俺の双肩に。
　ともあれくぅくぅ眠るニャッツさんを抱えてテコテコ散歩するのは、何だかほんわかしちゃうよね。
「は……は……」ニャッツさんが鼻をムズムズさせ始めた！「はっぷし！」
　ニャッツさんがくしゃみした瞬間、俺の周囲に竜巻が発生して、ひゅごーと言う音と共に道が綺麗になった。
　竜巻は路上のゴミを巻き上げて遠くに消えていった。
「……ニャ？　何で我輩師匠の腕の中にいるニャ？」不思議そうに俺を見上げるニャッツさん。
「それが、トイレにお化けが現れてですね」
「トイレにお化けが……？」困惑してるニャッツさんが可愛い。
「それで、ニャッツさんに何とかして貰おうと思いまして」
「我輩が何とかするニャ？」頭の上にひたすらクエスチョンマークを上げていくニャッツさんだ。
「それで、トイレから吹っ飛んじゃったお化けを今探してます」
「トイレから吹っ飛んじゃった……？」
　ニャッツさんがぴょんっと跳び上がって俺の隣に並んだ。
「まるで分からニャいけど、師匠が困ってる気配がするニャ！　我輩に任せるニャ！」つんっと顎を上げて凛々しいニャッツさんがまじ凛々しい。
「いやぁ、ニャッツさんはほんと頼りになるなぁ」まじ宇宙の帝王……だったっけ？　王様だっけ？　まぁいいや。
「で、お化けってどんニャ奴ニャ？　ガチホラー系ニャ？」
「それが、こう、女の子で……うーん、口が悪くて、男子トイレにいて、男子を驚かすのが生き甲斐的な奴です」雑情報しかない。
「よくそれで探そうと思ったニャ……」ニャッツさんが呆れ果ててる。
「俺もそう思います」全く同意だった。
「まぁ任せるニャ！　我輩のサイコメトリーで即把握してやるニャ！」ニャフーン、と誇らしげなニャッツさんだ。
「サイコメトリーって何でしたっけ」聞き覚えは有るけど内容まで思い出せないマン。
「ウィキペディアより引用致しますと、サイコメトリーと言う能力の範囲の厳密な定義は有りませんが、最も主な特徴は、物体に残る人の残留思念を読み取る事である、とあります」サラっとメイちゃんが語ってくれた。
「ほぇ～。ニャッツさんしゅごいですね」しゅごい以外の感想が湧かないぞう。
「ニャフフ、我輩の力に平伏すが良いニャ！」誇らしげにタシーンッ、と俺の右足を前脚で踏みつけるニャッツさんがまじ可愛過ぎなんだなぁ。
「でもここトイレじゃないですけど、どうやって残留思念を読み取るんです？」
「ニャ？　師匠の体液から読み取るニャ」
　間ですね。
「やだ恥ずかしい……」これには俺も恥ずかしさがＫ点越えですよ。
「くんくん」ニャッツさんが俺の股間を嗅いでる！「分かったニャ！　こっちニャ！」俺の反応を待たずにとっとこ歩き出したぞ！
「……」
　俺こういう時どういう顔をしてニャッツさんを追えばいいの？？
「ニャッツ様は亞贄様の尿素でサイコメトリーされましたね」「メイちゃん、それは言わなくていいんだよ」「――承服。ニャッツ様が亞贄様の尿素でサイコメトリーした事は秘匿します」「あぁんお願いだから復唱しないでぇ」
　そんな感じで、何か、うん、ニャッツさんがんばえ～。

---

【後書】
　平成最後の？　今年度最後の？？　更新は「神否荘の困った悪党たち」で締め括りです！
　ニャッツさんがお供に増えてお化け探しの冒険に出た亞贄君の明日はどっちだ！　てか最近の九月って夏みたいに暑いのですけど、朝だと肌寒いとか有るのかな…
　さてさて、次回は待望の新キャラ登場です！　お楽しみに～♪