2019年5月14日火曜日

【ベルの狩猟日記】100.樹海のもえないゴミ【モンハン二次小説】

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】、【Pixiv】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/novel/series/339079
■第100話

100.樹海のもえないゴミ


 ラウト村より片道三日の距離に在る広大な森の海――ハゥエット樹海。
 狩場として認定されている一帯には、ラウト村とは比較にならない程の面積を誇る、広大な森林地帯が広がっている。森丘では見た事の無いような独特の動植物が繁殖し、狩場ならではの生態圏が構築されている。
「なーんか平和な所ね~。モスとかケルビしかいないし」
 小雨のぱらつくエリアを三人のハンターは、狩猟用の防具を身に纏って散策していた。深い森の中に忽然と姿を現した湖を左手に、折り重なるように降り積もった枝葉、そしてクッションのように弾力の有る腐葉土の上を踏み締めると、それだけで緑の香りが広がるような錯覚に陥る。
 水質の良さそうな湖は小雨を受けて無数の波紋を浮かべ、鏡面のように水上に聳える太い幹の樹木を映し出している。奥を見渡すと小高い丘から小さな滝が、白い筋を作って湖に流れ落ちている。湖を覗くと、多くの魚が静かに彷徨っている姿が覗える。
 ベルが言ったように周囲にいる動物と言えば、モスやケルビなどの草食種ばかり。これだけ自然が豊かだとそれも当然だが、それは即ち大型のモンスターにも同じ事が言える訳で……
「――どんなモンスターか分からないが、いるぞ」
 ティガレックスの素材を用いて作られた防具――レックスシリーズを身に纏うフォアン。その防具を纏った者に付与される特殊なスキル“自動マーキング”――狩場にいる大型モンスターの居場所を感覚で察知する事が出来る、特殊能力染みたスキル。
 その彼が言うのだから、間違い無い。そしてそれは――ベルの嫌な予感が段々と現実味を帯びてきている事を指す。
「やっぱり狩猟なんでしょうね、これ……ハンターと言えば狩猟だもんね……とほほ……」ガッカリと肩を落とすベル。
「待てベル。そう決め付けるのは早いぞ」そんなベルの考えを真っ向から否定するフォアン。「もしかしたら大型モンスターから逃げつつ採取かも知れない」
「う~ん……まぁ考えられない訳じゃないけど……」腕を組んで思案するベル。
「違うにゃ……これはっ、次のハンターさんがいつ来ても良いように、狩場のあちこちに爆弾を埋めておく依頼に違いにゃいにゃっ!!」間違いにゃい! と断固とした口調でザレア。
「嫌がらせなの!? 次にここに来たハンター発狂するわよそれ!? どこで採取しても爆弾が出てくるなんて恐ろし過ぎるでしょ!? 爆弾地獄!? 爆弾地獄なのッ!?」ツッコミを入れずにいられないベル。
「どこを採取しても爆弾が採れる……ザレアのために在るような狩場だな」うんうんと頷くフォアン。「まさにザレア天国」
「ザレアじゃなければ悪夢以外の何物でもないけどねッ!!」
「それじゃ、オイラはちょっと爆弾を――」「埋めに行っちゃダメェェェェッッ!!」
 意気揚々と駆け出そうとするザレアの手を全力で引っ張って止めるベル。併しザレアの方が強いのか、両手でザレアの手を持ってるのに足がジリジリと引き摺られて行くベル。
「てか、小雨降ってるけど爆弾使えるのか?」
 上空を四方八方から伸びた枝葉が邪魔しているものの、生温かい小雨は樹海全体に降り注いでいる。タル爆弾は基本的に衝撃を与えないと爆発しないが、雨天では使用できない仕様になっている。洞窟などの水溜まりでは使えるのだが、降雨には弱い仕組みになっているらしい。
〈アイルーフェイク〉に衝撃が走ったかのように凄い痙攣をしたかと思うと、その場に四つん這いになるザレア。プルプルと全身が震えている。
「……も、もうオイラはダメにゃ……燃えにゃいゴミにゃ……ただの燃えにゃいゴミにゃ……」メチャクチャ暗い声でブツブツ呟き始めるザレア。
「爆弾が使えないだけでここまで鬱になれるのはあんただけよ……」呆れながらも、ザレアの背中を叩くベル。「ほーらっ、爆弾が使えなくたってあんたは強いんだから、行くわよっ!」
「うぅ……爆弾、爆弾……」ヨロヨロと力無く立ち上がるザレア。
「ん? そう言えば雨天って事は、爆雷針が使えるんじゃないか?」
 フォアンの何気無い一言で、死んだネコの目をしていた〈アイルーフェイク〉の瞳が突然輝きを取り戻した。
「そっ、それにゃーっ!! まだっ、まだオイラは終わってにゃかったにゃーっ!!」狂喜乱舞するザレア。
「終わるも何も、始まってすらいないと思うんだけど……」苦笑を滲ませるベル。
「そうと決まれば採取してくるにゃっ!」ビシッと敬礼するザレア。
「え。爆雷針って採取できるもんなの……?」
 ――“爆雷針”。雷を導く金属の棒。設置後、一定時間で雷が落ちてくる。晴れている日には使用不可。
 と言う説明を聞いた事が有るベルにとって、爆雷針とは人工物だと思っていたのだが……違うのだろうか、と自分の記憶に疑問を覚えてしまう。
「にゃにゃっ、違うのにゃっ!」両腕をブンブン回し始めるザレア。「――ハンターと言うのは、狩場に有るあらゆる素材を駆使してモンスターを追い詰める……師匠がよく言ってたにゃ!」
「――あー、つまり調合するって事?」ポン、と得心して手を打つベル。「――てか、あんたの師匠ってそんなタイプじゃなくない? 全身全霊を込めて自分の肉体一つでモンスターに突貫するような奴だったと思うんだけど……」
「師匠だって自分の体一つじゃ敵わにゃいモンスターくらいいるにゃっ!」プンプン怒り始めるザレア。「師匠をにゃんだと思ってるにゃ!」
「……人類を超えた……何か……?」顎に右手を添えて唸り始めるベル。
「大体合ってるにゃ」コクリ、と呆気なく頷くザレア。
「間違ってないんだ!? そこは否定しといた方が良いと思うわよ!? てかそれを認めるなら何でさっき怒ったの!?」訳が分からないよ! と絶叫するベル。
「つまりザレアの師匠は、人類以上化け物未満って事か。中々難しい存在頃なんだな」勝手に納得して頷きだすフォアン。
「何その友達以上恋人未満で、難しいお年頃みたいな言い方!?」取り敢えずツッコミを入れておくベル。
「とにゃかく! オイラはちょっと素材を採取してくるにゃっ! そして樹海を爆雷針の海に変えるにゃ!!」全力ダッシュで駆け抜けて行くザレア。
「待ちなさいヘルクリエイターッッ!! どうしてそう狩場を地獄絵図にしたがるのあんたはァァァァ―――――ッッ!!」同じく全力ダッシュでザレアを追い駆け始めるベル。
「みんな元気だなー。よしっ、駆けっこなら俺も負けないぞっと」更に全力ダッシュでベルを追い駆けだすフォアン。
 樹海を全力ダッシュで喚き合いながら駆け回るハンター三人組なのだった。

【後書】
 そう! 爆雷針って調合で作れるんですね! わたくしこのエピソードを綴っていた時に知った勢でして!w
 確か当時はアレです、P2Gの攻略本と睨めっこして、樹海で爆弾以外の爆発物を使うにはどうしたら良いかな~って調べていた時に知った筈です。併もアレなんですよ、ってここから先はこの物語のネタバレになるのでまたその時に!w
 いやー、樹海って昼間だと小雨が降り注いでて爆弾使えないって事に気づいた辺りからこのネタが沸々と湧き上がってきた感有るのでね、ぜひその辺もお楽しみにして頂けたらと思います!(笑) そんなこったで! 次回もお楽しみに~!
 てか遂に100話突破しましたね!w うっかり見逃しそうになりました!ww まだもう少しだけ続くてんやわんやの三人組が織り成す狩猟日記、最後までお楽しみ頂けますように~♪

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    100話突破おめでとうございます!
    が、「ズゴゴゴゴッ」が頭から離れない毎日を送っています。

    えー爆雷針って買うものじゃなかったんだ…
    ほんとだ調合レシピありますねwさすがですザレアちゃんv
    でも樹海を爆雷針の海に変えたらダメだと思うのw
    ベルちゃんしっかりぃ~w

    「駆けっこなら俺も負けないぞっと」ちがうそうじゃない…

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv


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    1. 感想有り難う御座います~!

      100話突破有り難う御座います~!┗(^ω^)┛
      それ気に入り過ぎでしょ!www 見る度に笑うんですけどぉー!?www

      MHFも確かP2Gとほぼ同じ世界線の筈なのでね、調合レシピ、しっかり実在するんですよ!ww
      樹海を爆雷針の海に変えたら流石に生態系が狂って大惨事待ったなし!ww
      がんばってベルちゃーん!ww

      フォアン君はいつも通り斜め上を行くノリで答える奴でした…!(笑)

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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