2019年5月22日水曜日

【ベルの狩猟日記】102.採取だって狩猟の一部【モンハン二次小説】

■あらすじ
守銭奴のベル、天然のフォアン、爆弾使いのザレアの三人が送る、テンヤワンヤの狩猟生活。コメディタッチなモンハン二次小説です。再々掲版です。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【ハーメルン】、【風雅の戯賊領】、【Pixiv】の四ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
モンハン モンスターハンター コメディ ギャグ 二次小説 二次創作 P2G


【ハーメルン】https://syosetu.org/novel/135726/
【Pixiv】https://www.pixiv.net/novel/series/339079
■第102話

102.採取だって狩猟の一部


 ハゥエット樹海の、地図上ではエリア2に位置する場所には、西側に小規模な湖が広がっている。その畔には多くの小魚、そしてその小魚を餌とする魚が集まってきている。エリア2にはケルビやモスなどの大人しい草食種しかおらず、小雨さえ無ければピクニックに絶好のロケーションと言えた。
「……来たっ!」
 湖の畔で釣り針を垂らしていたベルが嬉々とした声を上げて釣り竿を振り上げる。軽快な水音を立てて湖から引き上げられたのは、――ミミズだった。
「あ、あれー?」釣り針より上に有る釣り糸を手に持ち、釣り針の先端に付いている瀕死のミミズを見やるベル。「ピクピクって浮きが沈んだと思ったんだけどなー……」
「釣りはタイミングが難しいよな」言いながら釣り竿を振り上げ、釣り糸を掴んで釣り針を見やるフォアン。釣り針の先にはミミズさえ付いていなかった。「また餌だけ取られたぜ」
 ガッカリと肩を落としているフォアンを見て、ベルは不思議そうな顔をする。
「……フォアンって何でも出来そうな割には、偶に不器用よね?」意地悪な笑みでフォアンの肩を突付くベル。
「何でも出来る訳じゃないって」ポリポリと頭を掻くフォアン。「てか、ベルも釣りはあんまり上手くないんだな?」
「そうね~……」視線を湖の畔――魚が自由気ままに泳いでいる姿を捉えて嘆息するベル。「だって別に白金魚とか黄金魚釣る訳じゃないし……その二匹なら俄然やる気が出るんだけどな~」
 白金魚と黄金魚。ギルドなどと取引すると高値で買い取ってくれる希少価値の有る魚である。名前通り白金や黄金の鱗の魚で、その姿を見ただけでも幸運になれそうな気がする……事も有る、一部では縁起の良い魚だと言われている。
「ベルらしいな」思わず微苦笑が浮かんでしまうフォアン。「ところでザレアは……」
 フォアンの視線の先――湖に突き出すように出ている大樹の根っ子の先端で、ザレアは釣り竿を振るっていた。
「にゃにゃーんっ、ゲットだにゃ!」
 ミミズを釣り針に付けて釣り竿を振るう。浮きが水面に落ちた――と思った次の瞬間、ザレアは釣り竿を振り上げ、釣った魚を手にガッツポーズ。早業以前に何かがおかしい映像が幾度と無く繰り返されていた。
 ザレアの脇に置いてある籠は今や溢れんばかりの魚でギュウギュウになっていた。
「……何て言うか……釣りの才能以前の問題じゃない? あれ……」
「俺には魚がザレアに釣られたがっているようにしか見えないな」
 爆釣と言うか、魚が自ら釣り針へ殺到している様を眺めていた二人の爽やかな顔には「そんな気はしていた」と書いてあったのだが、勿論ザレアは構わず釣り続ける。
「――って、どんだけ釣り上げる気なのザレア!? まさかガチで樹海を爆雷針の海にする訳じゃないんでしょ!? ちょっと!? どうしてそこで顔を背けるのか説明しなさいィィィィッッ!!」
 そしてようやく我に返ったベルのツッコミと言う名の怒声が響き渡ったのは、ザレアの持つ籠から遂に魚が飛び出してきた頃だったとか。

◇◆◇◆◇

 エリアは変わり、今度は北側に湖が面している、小高い丘のエリア――エリア4。そこで三人のハンターがお手製の虫あみを振り回して虫の採取を始めていた。
「よっと」ばさっ、と虫あみを振り下ろし、網の中に入った虫を素手で掴むフォアン。「よしっ、雷光虫一匹ゲットだぜ」人差し指と親指の間でジタバタしている昆虫――雷光虫を見て満足そうに頷く。
「こっちもゲットしたにゃーっ!」
 間近で上がったザレアの喚声にフォアンは振り返って頷き、腰に下げている虫篭の中身を確認する。
「これだけあれば大丈夫か?」虫篭一杯に入っている雷光虫をザレアに見せるフォアン。
「充分だにゃっ!」ビシィッと親指を立てた拳を前に突き出すザレア。「ありがとにゃ~♪ これで後は調合すれば問題無しにゃっ!」
「よし、それじゃ早速調合を始めようぜ」顎を引いて、それからフォアンは周囲を見回し始める。「ところでベルはどうしたんだ?」
「ベルさんにゃらあそこに……」
 ザレアの指差す先には、確かにベルの姿が有った。――が、どこか異様な雰囲気を発している。
「……えいっ!」ばさっ、と虫あみを振り下ろして、網の中に入っている虫を手に掴むベル。人差し指と親指の間でジタバタ節足を動かしているのは宝石のように輝いている甲虫――ロイヤルカブト。それを見た瞬間、ベルの顔が満面の笑みに綻ぶ。
「フォアンっ!! ザレアっ!! ロっ、ロイヤルカブトが大量にいるわッ!! 何としてでも乱獲するわよッ!!」
 嬉しさのあまり発狂しているかのようなウッキウキの語調で手を振り回すベル。そんなリーダーの顔を見て、二人のハンターは顔を見合わせる。
 ――ロイヤルカブト。黄金魚や白金魚と同じく、ギルドや街で高額で取引される虫である。黄金魚などもそうだが、ロイヤルカブトをギルドと換金すると、農場の拡大などに使えるポイントが配布される事も有る。換金素材とも言えるこれらはハンターにとって重要な要素になっている。
「金が絡むと本当に人が変わるよな、ベルって」
「お金に関したら右に出る者がいにゃいにゃっ!」
 うんうん頷くフォアンと、飛び跳ねるザレアは、無我夢中で虫あみを振り回すベルを眺めていたが、不意に彼女が「ほらッ! 口を動かしてないで手を動かすッ!! ロイヤルカブトは待ってくれないわよッ!?」と怒号を発したのを機に、二人も虫あみ片手にロイヤルカブトを追い回す作業に入った。
 後日、ハゥエット樹海からロイヤルカブトの目撃情報が激減したのは、また別の話……

【後書】
 更新が一日遅れました! 申し訳ぬい!(*- -)(*_ _)ペコリ
 さてさて、今回は完全な採取回です。序盤だと尚更ですが、ついね~採取を始めると、目当ての物以外の素材も欲しくなったりするんですよね~w
 特にロイヤルカブトとかって、序盤の金策にも良いので、ついつい必要な分じゃなくても採取しちゃいますよね…!w 環境破壊待ったなし!(笑)
 そして今回でまさかのエピソード7が折り返しです。あるぇー?? 冒頭の狩猟マダー?? まだです(ニッコリ)。次回は遂に謎の生命体と遭遇です…!w お楽しみに~♪w

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    わたしも釣りは苦手ですw
    よっしゃあれだ!って狙い定めて餌を落とすも違う魚がスススっとw
    サレアちゃんはあれです、スキル釣名人発動中w

    たしかにぺんぺん草も生えないほど採取してた感はありますね。
    環境破壊待ったなし!(笑)

    いよいよ折り返しですかーってか、もうエピソード7?!
    本当に爆雷針の海になってしまうの?w
    そして謎の生命体とは……果報は寝て待て!!

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      釣りはわたくしもあんまり得意じゃなかったです…w
      そうそうwwお前じゃない!wって子が勢いよく来るんですよね!wヤメテーッ!ww
      それだっ!ww 釣り名人どころか釣り達人とか有ってもおかしくなさそうです(笑)。

      ほんとにね…!ww 草木一本生えない不毛の土地になってる感しゅごいです!ww(笑)

      そうなんですよう!w もう折り返しなんです!w 更にエピソードも既に7と、佳境も佳境、もうじき終わるレヴェルでして!w
      爆雷針の海だけは避けたい未来ですね!www(笑)
      果報は寝て待て!ww 謎の生命体が果報はヤバいぞ!ww(笑)

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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