2019年5月7日火曜日

【FGO百合SS】08話「貴女と友達になりたくて※学パロ番外編#1」【エレモー】

■あらすじ
エレシュキガルとモードレッドの学パロその一。
元ネタ:断さん

■キーワード
FGO Fate/Grand Order 学パロ エレシュキガル モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第8話

08話「貴女と友達になりたくて※学パロ番外編#1」


「――――お前、何で泣いてんだ?」

 夕暮れに沈む学び舎の隅から聞こえてきた啜り泣きの声に、モードレッドは躊躇も容赦も無く声を浴びせた。
 目元を擦りながら座り込んでいたのは同じクラスのエレシュキガルだと、数瞬の間を置いて理解する。だが、何故こんな所で一人泣いているのか、それが分からないから、モードレッドは関心の赴くままに声を投げたのだ。
 エレシュキガルはまさかこんな所にモードレッドが現れるなどとは想定してなかったのだろう、「ふぇ」と泣き声の中に驚きの意を混ぜ、一瞬間の抜けた顔をして彼女を見据え、それから大慌てで赤く腫れた目元を拭う。
「な、泣いてなんていないのだわ!」
「泣いてんじゃん。目ェ真っ赤だぜ?」エレシュキガルの目元を指差して追及の手を緩めないモードレッド。
「ちがっ、これは……ちょ、ちょっと躓いただけなのだわ!」
 ごしごしと強く目元を拭うと、エレシュキガルは逃げるようにモードレッドに背を向けて駆けて行く。
 モードレッドは鞄を担いだまま、小さくなるエレシュキガルの後姿を見送ると、「……ふーん」と気の無い返事を、誰もいない影に落として、やがてその場を後にした。

◇◆◇◆◇

 エレシュキガルを今まで注視していた訳ではなかったために気づかなかったが、どうやらクラスメイトに苛められているらしいと分かった。
 それも教室などで大っぴらに行っている訳ではなく、人のいない時や衆人環視が入らないタイミングを狙っての悪質な犯行である事も、エレシュキガルを意識して見るようになって、モードレッドは気づく事が出来た。
 そしてそういう惨い目に遭った後、人目に触れない場所でひっそりと声を殺して泣き、人の目に触れる場所に戻る頃には空元気を振る舞うと言う、胸糞悪い現状も、知る事が出来た。
「よう、エレシュキガルに悪行を重ねるのはそんなに愉しいか?」
 故に――――モードレッドは彼女を苛めているグループ全員纏めて、喧嘩を吹っかけた。
 人数差、戦力差、そしてスクールカースト差。全てが劣っている、負けている状況にも拘らず、モードレッドは嗤っていた。嗤って、悪逆の限りを尽くした。
 許せないものは許さない。そうすべきと判じたのなら、そうすべきだ。父上が騎士道の極致たる生き方を貫いていたのをずっと傍で見ていたからだろうか、己がそうする事に、一切の躊躇が湧かなかった。
 やがて満身創痍の態で苛めの主犯格を全員半殺しにすると、モードレッドは青痣だらけの顔に凄惨な笑みを刻み、全身の傷など意に介した様子も無く通告する。
「二度と、エレシュキガルに近寄るな。次、あいつを泣かしてみろ。地の果てまで追い詰めて、――――貴様らの首を悉く獲る」
 モードレッドの鬼気迫るその最終通告に、流石に苛めっ子達は肝を冷やし、涙ながらに彼女に謝罪の言葉を口々に上げ、転がるように逃げて行った。
 モードレッドは満足そうにその場を後にしようとして――エレシュキガルの姿を見てしまった。
 目元に涙を覗かせたエレシュキガルは、震える体を押さえるように支え、モードレッドを信じられないものでも見るように凝視し、「――どう、して……?」ぽつりと、小さな吐息を漏らした。
「ムカついたからな、叛逆してやっただけだ」ばつが悪そうに後頭部を掻くと、エレシュキガルに歩み寄り、震える彼女の頭を乱暴に撫でる。「もう泣くな。あと気にすんな。オレが勝手にやった事なんだからよ」
「……ズルい」涙を流しながら、モードレッドを正視するエレシュキガル。「ズルい、ズルいのだわ! 私、どうやって貴女に恩を返したら……」
「だぁーから、気にすんなっつってんだろ」ポンポンとエレシュキガルの頭を撫でるモードレッド。「ムカついたから叩きのめしただけだからよ、お前が気にする必要なんざねーっての」
「……じゃ、じゃあ……」モードレッドの制服の袖を引っ張りながら俯くエレシュキガル。「モードレッドが困ってたら、今度は私が……助けるのだわ……!」
「オレ、困ってる事なんてねーぞ」
「それでも! ……それとも、私が手を貸すのは鬱陶しいのだわ……?」
「そんな事はねーが……」
「じゃあ決まり! 一方的に助けられるなんて、私、嫌だもの!」
 未だかつて見た事の無い笑みを見せられ、モードレッドは照れ臭そうに眼を逸らし、「お、おう、分かった」とばつが悪そうに呟くのだった。
 それが、モードレッドとエレシュキガルが友達として末永く付き合い始める、最初の日だった。

【後書】
 前書きにも綴りましたが、元ネタは断さんがTwitterに投下したネタです(^ω^)
 いやぁー、もう最高のエレモーだったのでね、清書しても宜しいでしょうか?? と提案した所、快諾して頂きましてw
 今後はちらちらと断さんのネタの清書などもして参りますぞい!┗(^ω^)┛
 と言う訳で学パロのエレモーです。絶対こうなるって展開を、まぁこうなるわな…って綴りきった感です(^ω^) 断さんのエレモーネタが尊過ぎるんだなぁ…
 次回もたぶん学パロエレモーの続きです! お楽しみに~♪

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