2019年5月31日金曜日

【FGO百合SS】09話「貴女と友達になりたくて※学パロ番外編#2」【エレモー】

■あらすじ
エレシュキガルとモードレッドの学パロその二(その一のつづき)。
元ネタ:断さん

■キーワード
FGO Fate/Grand Order 学パロ エレシュキガル モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第9話

09話「貴女と友達になりたくて※学パロ番外編#2」


「……また喧嘩したのかしら?」

 全身生傷だらけで寝転んでいるモードレッドの傍にしゃがみ込んで怪訝な表情を刺し込むエレシュキガルに、大の字で「してやったり」と満悦な笑みを覗かせた不良女生徒は、「喧嘩じゃねーよ、叛逆だ叛逆。履き違えんな」と偽悪然に笑い飛ばした。
 自称叛逆の騎士の満身創痍っぷりに、エレシュキガルは呆れ果てた様子で溜め息を漏らすと、持っていた槍檻風のスクールバッグを下ろし、テキパキと湿布や消毒液、絆創膏などを取り出すと、「はい、早く見せるのだわ」とモードレッドに手を差し出した。
「あん? こんなの唾付けときゃ治るだろ」「化膿したら大変でしょ!? 早く見せる!」「お、おう」
 不意に覗かせたエレシュキガルの激昂に、モードレッドは喧嘩腰の態度を引っ込め、彼女には珍しく従順に皮膚が抉れた右手を差し出す。
 生々しい傷痕を見ても、エレシュキガルは動揺する素振りを見せず、やはりテキパキと処置を施していく。慣れているのか、あっと言う間にモードレッドの体には湿布に絆創膏、そして包帯が綺麗に巻かれていった。
「何だよお前、実は医者だったりするのか?」
 見栄えの良い包帯の巻き方に感心して、感嘆の吐息を漏らすモードレッドに、エレシュキガルは特に感慨も無く、「ううん、私がよく怪我してたから、慣れてしまっただけなのだわ」と感情のこもらない声を返した。
「ふーん……」と気の無い返事を吐き出した後、その言葉の意味がどう繋がるのか考えが至ってしまった瞬間、モードレッドの顔に怒りとも憎悪とも付かない色が点るのだが、それを察したエレシュキガルが「で、でも、今はもう、モーちゃんのお陰で怪我なんて一つもしてないのだわっ!」と慌てて宥めた。
「……そっか。なら良い」
 憤懣やる方ないと言った様子だが、一応は納得してくれたようで、エレシュキガルもホッと胸を撫で下ろす。
「――で、今度は一体どこの誰と喧嘩……じゃなかった、どこの誰に叛逆した訳? あなた、その調子だといつか本当に大怪我じゃ済まなくなるわよ?」
 心配とも警告とも取れる、不安げな眼差しと共に吐き出された質問に、モードレッドは言い難そうにそっぽを向いて、「あー……何だ。何でもねえよ」と視線を泳がせ始めた。
「……そう言えば、最近私に付き纏っていたストーカーが出没するのも、この辺だった気がするのだわ?」
「…………へぇー、そうなのか」
「……今日はまだその視線が感じられないのだけれど、どうしたのかしら?」
「…………さぁーな。どこかで血祭りにでも挙げられてるんじゃねーか」
「…………モーちゃん??」
 意識を逃がさないと言わんばかりにモードレッドの両頬を両手で押さえて正視させるエレシュキガルに、遂に観念したとばかりに「あぁーッ、もうッ! そうだよッ! そのクソストーカー野郎を血祭りに挙げたトコだよ! 今! ここで!!」と犬歯剥き出しに吼え始めた。
 そのあまりにも予想通りだった返答に、エレシュキガルは頭を抱えて「どうしてあなたはそう……」と頭痛を感じさせる表情で嘆息を落とすと、ばつが悪そうに不貞腐れてるモードレッドを優しく抱きしめた。「……ありがとう。でも……お願いだから、私のためでも、喧嘩……じゃなかった、叛逆しないで欲しいのだわ……モーちゃんが傷つくの、見たくないのだわ……」
「……悪かったよ」上目遣いにエレシュキガルを見やるモードレッド。「だがよ、お前だって我慢してんじゃねえよ。クソ野郎に付き纏われてるってんなら、さっさと言え。こういう蛆虫はとっとと抹殺しないと後始末が面倒なんだよ」
「……あなた、全ッ然反省してないでしょ?」
「あ? 何を反省する余地が有るんだよ?」
 はぁぁぁー……と脱力しながら崩れ落ちるエレシュキガルに、モードレッドは不思議そうにその頭を見下ろす。
「まっ、ともかくだ」ポン、とエレシュキガルの頭を撫でるモードレッド。「これでカス野郎はもうテメエの前にゃ現れねえだろうよ。散々叩きのめしたからな、もし次現れたら、両足圧し折って眼球抉り出して」「やめるのだわーっ!! もう過剰防衛通り越して殺人未遂まで行ってるのだわーっ!!」
 ガックンガックンとモードレッドの肩を揺さ振り始めるエレシュキガルに、首を上下に振られながら叛逆の騎士は呵々大笑するのだった。

◇◆◇◆◇

「――モーちゃん。今日は勉強会をしましょう」
 下校時刻になってほぼ空っぽのスクールバッグを担いだモードレッドに、エレシュキガルがノートや教科書を抱えて立ち塞がった。
 暫く呆気に取られて呆~っとしていたモードレッドだったが、ややあって「……あ?」とメンチを切り始めた。
「何で勉強?」
「あなた、成績があんまり良くないでしょう?」
「ズバッと言うなお前……」
「私、こう見えても成績良い方なのだわ!」ふふーん、と鼻高々に宣言するエレシュキガル。
「おう、喧嘩売りに来たって解釈で良いか?」額に青筋が走り始めるモードレッド。
「それにあなた、良き王、になるんでしょ? だったら学芸は一通り修めておくに限ると思うの。愚かな王が、良き王だって言うのなら、話は別だけど」
 どう? と小首を傾げて確認を乞うエレシュキガルに、モードレッドは難しい表情で腕を組んだ。
「……理屈は分かる。だがよ、何だってテメエが俺に勉強を教えたがるんだ?」
「そりゃ、友達だから、でしょ?」
 きょとん、と返され、モードレッドも同様に、きょとん、とエレシュキガルを見つめてしまう。
 何かおかしい事言った? と顔に書いてあるエレシュキガルに、モードレッドは不意に嬉しそうににやけると、その顔を見せないようにそっぽを向き、「――あぁー、まぁ、そうだな。ダチだもんな、オレ達」とエレシュキガルの肩に拳を当て、スッと脇を通り抜けた。
「で、どこで勉強会すんだよ? オレァ早く帰ってゲームしてぇんだ、早くしろよ」
 肩越しに声を掛けるモードレッドに、エレシュキガルは一瞬間の抜けた顔を返すも、すぐに喜色に満ちた微笑を浮かべると、「こういう時は図書館って相場が決まってるのだわ! 早速行きましょう!」とモードレッドの隣まで走り、嬉しそうに並んで歩調を合わせるのだった。

◇◆◇◆◇

 結局のところ、互いに互いが、「何故この娘はここまで己の事を想ってくれているのだろう?」と分からないまま、互いにその分からない想いを抱えたまま、けれどその想いは大切なものだと分かっているからこそ、伝わりそうで、伝わらない、そんな日々を過ごしていくのだった。

【後書】
前書きにも綴りましたが、元ネタ提供は断さんです! 断さんのめちゃんこ尊いエレモーツイートから生まれた物語です!!(食い気味)
と言う訳でアレです、互いに相手の力になってあげたい~って気持ちだけで力を貸しちゃってるので、相手からすれば「何でこの娘、己にこんな良くしてくれるんだ…?」って思いながら、でも相手の力になりたい~って言う、そんな、アレです!!(語彙力~!)
何かめちゃんこ久し振りにエレモー綴ったな~と思ったら前回からまだ一月経ってませんでした(^ω^) 時空の流れグチャグチャだ…そんなこったで! 次回もお楽しみに~♪

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