■あらすじ
《滅びの王》である神門練磨は、夢の世界で遂に幼馴染である間儀崇華と再会を果たしたが、彼女は《悪滅罪罰》と言う、咎人を抹殺する一族の末裔だった。《滅びの王》、神門練磨の旅はどうなってしまうのか?《滅びの王》の力とは一体?そして葛生鷹定が為そうとしていた事とは?《滅びの王》完結編をお送り致します。
※注意※2008/04/29に掲載された文章の再掲です。本文は修正して、新規で後書を追加しております。
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■キーワード
異世界 冒険 ファンタジー 魔王 コメディ 中学生 ライトノベル 男主人公
カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054885698569
小説家になろう■https://ncode.syosetu.com/n9426b/
■最終話
最終頁■終わりの書『The Last Lord』
「おはよぅ、練磨っ♪」
「おーっす、崇華」
八月十日。今日の天候も雲一つ見えない晴天。アスファルトの照り返しが殺人的にキツい日だった。
オレと崇華は制服ではなく、私服のまま中学校への通学路を歩いていた。
昨日……つか、今日の未明も向こうの世界にいたのに、こうして現実の世界でも起きてるって感覚が、未だに掴めないんだよな。寝てるのに、もう一方の世界では起きてるんだから、やっぱり不思議な感覚だ。一日が余計に濃厚になった気がして仕方が無い。
「今日も暑いね~」崇華が青空を仰いでポツリと呟く。
「ああ、そうだなぁ~。もういっそ、太陽、休業しちまわねえかな」茹だるような暑さにグロッキーなオレ。
「ええ!? ダメだよ練磨、そんな事しちゃ! 太陽さんだって必死に皆をチリチリしてるのに!」慌てて抗弁する崇華。
「どんな太陽だそれッ!? 必死にチリチリしてどうするつもりなんだッ!? オレ達を焼死させる気かッ!?」そうだったら仰天のオレ。
「えとえと、……そしたら皆、トーストみたいにならない、かなっ?」
やっぱりパンなのか、こいつは……
人間がパンみたいに焼かれちまったら、生きていけねーだろーがよー、とツッコミを入れつつ、山道のような通学路を歩き続ける。
「……でも、良かったよぅ」
「皆がトーストになる事がかッ!?」
「違うよぅ! ……練磨が、ちゃんと生きてた事っ」
崇華はオレを見上げて、ちょっと上目遣いに瞳を潤ませると、ニパッと可愛げの有る優しい笑みを湛えた。
「葛生さんも、菖蒲ちゃんを助けられて良かったし♪」
「だよな。……でも、やっぱり忘れられねえな、アレは」
「練磨……」
オレが気にしてるのは、……空殻の死だ。
助けられた筈なんだ、あいつだって。あいつは死なずに、生きて罪を償うべきだった。絶対に。
なのに……あいつは死ぬ事によって逃げやがった。……現実から、そして、……自分からも。
もう二度と、あんな奴を死なせてなるものか! とか思ったりするけど、……そんな事が何度も起こる訳ねえとも思うし、もしかしたら!……って考える時も有る。
向こうの世界ではミャリと崇華、そして湖太郎と、三人と一匹で旅をしてるけど、……これが平和と言うべきなのか分からないような感じで、問題ばっかり起こりやがる。
もしかしたら、オレはそういう体質なのかも知れないな、って最近、気づき始めた。
……って、やっぱり遅いよな、気づくの。
「練磨は全力を尽くしたんだもん、何も間違ってないよぅ!」
必死にオレを励まそうとする崇華の気持ちが、今のオレには嬉しくて、――ついつい抱き締めようとしてしまう。
けど、――練磨、お前もいい加減に大人になるんだ! って自分に言い聞かせて、それだけは避けているつもり。……なんだけど、こいつ、実はわざと言ってないか? ……って、何をだよ。
「ありがとな、崇華」頭を撫で撫でしてやるオレ。
「えへへ~♪」呑気に喜ぶ崇華。
言いつつ、……不意に思い出してしまう、ここ数日の出来事。
色んな事が遇った……一番初めが重要なんだけど、いきなり異世界に飛ばされた日は、今でも脳裏に焼き付いている。忘れようにも忘れられない……一種のトラウマだと思う。衝撃的過ぎて、理屈抜きで体が忘れようとしないんだ。
あの時、鷹定に出逢っていなければ、オレは今、恐らくここに立っている事なんて出来なかったと思う。それだけ鷹定には助けられたし、仲間にも恵まれた。……こればっかりは、運命の神様に感謝してもしきれない。
そして、オレが《滅びの王》だと言われた事も……
「……結局、暦さんが間違えちまったんだよなぁ」
それとも、これからオレは世界を滅ぼしてしまうのだろうか?
生きている限り、オレはずっと《滅びの王》と言う名の重荷を背負っていかなければならない……
でも、それって結構楽しそうな気がするんだよなっ。
だって、何だかそれって、凄い気がするんだ。
「えとえと、それって練磨が《滅びの王》って事?」
「ああ。……暦さんは、オレが《滅びの王》だって断言してたし」
「じゃあじゃあ、……きっと、練磨は《滅びの王》なんだよぅ」
そりゃ分かってんだけどさ……
「世界を滅ぼすんじゃなくて、『世界を滅ぼす人』を滅ぼす王様なんだよぅ! だから、練磨は『世界の滅びを救う』王様なんだよぅ!」
妙な励ましの言葉を受けて、オレは思わず噴き出した。
「ははははっ! それって、何だかややこしいな」
「え、えへへ。……だって、練磨は世界を滅ぼさないんでしょぅ? なら、きっとそうなんだよぅ!」
……『世界の滅びを救う』王、か……それも、悪くないかなっ。
「そう言えばさ練磨。進路希望の紙は書けたのぅ?」
崇華がオレの顔色を窺いながら尋ねてきたのを見て、オレはちょっと恥ずかしかったけど、苦笑でごまかして応えた。
「ん? ああ、実はな……」
◇◆◇◆◇
「……なぁ、神門。訊きたいんだが……お前、先生を辞職させたいのか?」
進路指導室に呼び出されたオレは、担当の先生に向かい合って木製の生徒用の椅子に腰掛けていた。
やっぱり不味かったかな、と思いつつ、でもそこだけは妥協したくなくて、オレは首を横に振ってから応えた。
「先生を辞めさせたいなんて思ってませんよ、オレは」
「じゃあ、……コレはどういう意味なんだ?」
進路希望の紙が突き返された。
オレはその欄を見て、ちょっと苦笑。
「そのまんまの意味なんですけど」
「……良いか、神門。先生もちょっと良心が有るから言い辛いんだが……ゲームのやり過ぎには注意すべきだと思うんだ」
「ゲームの世界と現実を混同させてるつもりは無いっすよ」
「そこまで分かっていて……コレなのか?」
先生の真剣な眼差しを受けて、オレは小さく頷いた。
「コレだけは、譲りたくないです」
「……分かった。だけど、この用紙の提出は先延ばしにしよう。神門の考えが変わるかも知れんからな。先生はそれを期待して待っていよう」
きっと変わらないけどな、と口の中で呟く。
進路希望の紙を受け取ると、オレは立ち上がって、椅子に腰掛けたままの先生を見下ろした。
「でもオレ、やっぱりこれが一番だと思ったんすよ」
「……そうか。神門には神門の考えが有るだろう。……次の登校日を楽しみに待ってるぞ?」
「期待しても、きっと変わりませんって。オレは、」
――《滅びの王』になりたいんです。
世界を滅ぼさない、世界の滅びを救う《滅びの王》に、オレはなりたいと思ったんだ。
……一九九九年八月。
今年も暑く、……いつに無く平和だった。
そしてオレは、――『凄く』生きていた!
―――――――――【滅びの王】・・・【完】
【後書】
結局この物語は練磨君が「凄く生きたい」って夢を叶える物語に集約されてるんですな!
そしてこのふぁんたじぃな物語には終わりが無く、故にこそここで終わっているのです。終わらない物語ですからね! こういうエンド以外有り得ない奴です!w
尤も、元々はここで終わる予定は無く、何十巻分くらいの物語が本来は予定されていたのですが、編集長の「これはここで終わらせておくべき」と言う鶴の一声によってこの物語はここで完結しておりまする。ネタも当時のパソ子がお亡くなりになった影響で復元不可なので、今から続編を綴ると言う予定も無く…【世界の終わり】だけでも十人近い幹部全員設定練ってあったんですがね…!w 全部失われてしまいました…w
ともあれ何とか最終話まで辿り着けて人心地ですw ネットデビュー作ですからね、感慨もひとしおでしたw いやー、当時は今以上にめちゃんこ青かったんだなーって(笑)。
さてさて、長々と綴りましたが、ここまでご愛読頂きまして、本当に有り難う御座いました! 次回作…は分かりませんが、また別の作品で逢えますよう祈っております! ではでは、これにて筆を擱かせて頂きまする!
更新お疲れ様ですvv
返信削除練磨君最後はカッコよく締めましたね。( ´∀`)bグッ!ですw
毎回毎回ハラハラドキドキしながら読ませていただきました。
練磨君がやらかし、みんなでフォローw
でも最後は練磨君にしかできないことを鮮やかに!!
もーたまりません!凄く生きてるぞ!!
世界を滅ぼさない、世界の滅びを救う《滅びの王》
わたしが後半にぼんやり見えていたのがこれなんです。
ちゃんと言葉になってると「そうそうコレコレ!」w
やっぱり王の器だよね練磨君。
魅力的な登場人物がいっぱいで、もっと色々なエピソードを読みたい気持ちもありますが、編集長様のおっしゃる通りここで終わりが正しいのかな。
あとは妄想で楽しませていただきますよ~
【後書】も毎回楽しみでした。
特に青かった自分にモダモダする先生がw
うお!長くなってしまいましたm(_ _)m
暴走するコメンターこのへんで失礼しないと色々失礼かと思いますのでコレ!にて失礼します(コレ!には困ったw)
今回も楽しませて頂きましたー
次回作も楽しみにしてますよーvv
感想有り難う御座います~!
削除最後は何とかカッコよく締められました…!w ほんと良かったです!w
ハラハラドキドキして頂けたのならわたくしとしては最高の出来だったと安心できました…!w
そうそうww 練磨君がやらかして、皆がフォロー!w
ウヒャァ~!w もうそれ!ww それが聞けただけでわたくしもう大満足です!ww
ヤッター!ww┗(^ω^)┛ 凄く生きてますよね!w
わたくしが見せたかった姿が、とみちゃんにも見えていた事が嬉しくてなりません…!
そうそう!w 王の器ですよね練磨君…!
ぜひぜひ! たっくさん妄想して頂けると、公開した甲斐が、創作した甲斐が有るってもんです…!
ここで終わりが正しい、か、それは結局最後まで分からないままでしたが、わたくしもここで終わるのが、何だか良かった気がします…!
後書が楽しみだなんてなんてもう!ww嬉し過ぎるじゃないですかもー!ww
青かった自分にモダモダする私wwwこらぁー!www
最高に素敵な感想を有り難う御座います…!w こんな素敵な文章、長く綴る方が難易度高いですよこれ!ww しゅごいんですよとみちゃんの感想は!ww
今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
次回作も! ぜひぜひお楽しみに~♪