2019年10月17日木曜日

【神否荘の困った悪党たち】第72話 妖精さんゲットだぜ!【オリジナル小説】

■あらすじ
「ニャ? 飼わニャいニャら殺せば良いんじゃニャいかニャ」
「……」

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
日常 コメディ ギャグ ほのぼの ライトノベル 現代 男主人公


カクヨム■https://kakuyomu.jp/works/1177354054881797954
■第72話

第72話 妖精さんゲットだぜ!


「亞贄さーん、ちょっと良いですか~」

メイちゃんがお片付けしてるのをほんのり手伝っていると、式子さんがふわふわ飛んできた。
「どうしたの?」メイちゃんにマイコップを預けて振り返る。
「実は妖精さんが神否荘に迷い込んじゃってですね……」ふぁんたじぃ過ぎる。
「えぇー妖精さん迷い込む事有るのここ」不覚にもときめいちゃう奴だ。「見たい見たい、俺、リアル妖精さん見るの初めてだからドキドキするよ」
「では妖精さんの捕獲は亞贄さんに一任しますね!」捕獲??「はい、これが捕獲用器具です」捕獲用器具???
訳も分からず手渡されたのは、虫網(めっちゃ小さい)と、虫かごだ。
「これで……妖精さんを捕獲……するの?」妖精さんがまさかの虫扱い。
「頑張ってくださいね! それでは私はこれで!」ひゅいーんっ、とどこかへ飛んで行ってしまった。
残された俺は、虫網と虫かごを携えて、途方に暮れるのだった。何だこれ……

◇◆◇◆◇

「ニャッツさーん」
コンコン、とノックしてからニャッツさんの部屋に侵入すると、スピスピ寝息を立てて丸まっているニャッツさんを発見した! KAWAII!!
これは撫で撫でチャンスだと思って近寄ろうとして、気づいた。
ニャッツさんの近くに小さな人影が見える。人形? フィギュア? じゃないなこれ、トコトコ歩いてるぞ……
まじまじと見つめると、小人は深緑色の軍服を着てて、ライフル銃を携えてるのが分かった。しかも一人じゃなくて四人もいる。しゅごい警戒心も露わな仕草でニャッツさんの近くを哨戒してる。
何だこれ……と思って観察してると、不意に一人が俺に気づいて頭の上にビックリのマークを点した。
「小林隊長! 人間です! 前方十時の方角、人間です!!」めっちゃ渋い声で小人が叫んだ。「我々と交戦する意志は無さそうですが、如何致しますか小林隊長!」しゅごい、小人が日本名で且つ隊長とか言ってる。
「慌てるな杉本! 交戦の意志が無いなら慎重且つ穏便に済ませるべきだ。そうだろ?」これまた渋い声をしてる小林隊長。てか顔がもうおっさんオブおっさんで何だこれ……「交渉の余地が有るかも知れん。佐々木、お前に任せる」
「了解であります!」佐々木さんと思しきおっさんの小人が駆け込んできた。小さい軍人が機敏にトコトコ走ってくるのこれ可愛いな。「こちら妖精軍第八小隊佐々木! 人間と交渉開始致します!」俺に駄々聞こえだけど良いの??
「えーと、佐々木さん?」しゃがみ込んで佐々木さんを見つめてみる。「何してるのここで?」
「ぐわーっ!」ふわぁーっと佐々木さんが飛んでいく!「人間、交戦の意志アリ! 交戦の意志アリ! 繰り返す!! 人間、交戦の意志アリ! 交戦の意志アリ!!」なんでや。
「佐々木ぃーっ!」小林隊長が叫んでる。「くっ、止むを得ん! 交戦の用意ぃーっ! 敵、人間! 敵、人間!! 繰り返す! 敵、人間! 敵、人間!!」繰り返す内容雑過ぎない??
「わぁーっ!」パタパタと音を立ててライフル銃が火を噴いた!
「いてて」俺の脛に小さな小さな弾丸がペトペトとぶつかった。豆より痛くないぞこれ……「ヤメテヤメテ、俺交戦する意志無いよ、俺交戦する意志無いよ」
「敵、損傷軽微! 繰り返す! 敵、損傷軽微!」軽微どころか無傷なんだけどなぁ杉本さん。「小林隊長! 如何致しますか!? やはり空軍に空爆支援を要請すべきでは……!」ヤメテヤメテ。
「止むを得ないか……! 飯田! 空軍に空爆支援を要請しろ! 時間との勝負だ……! あの人間が本気で我々を攻撃し始める前に片を付けるぞ……!」戦術情報全部駄々洩れなんだけど大丈夫なのかなぁ……
しかし、分かった。確かにこれ、虫とは違うけれど、虫クラスのヤバさだ。早く捕まえないといけない気がしてきた。
「えーい」虫網をパサッと被せて佐々木さんをゲットしてみる。「佐々木さん、ゲットだぜ!」
「アアアアーッ!!」佐々木さんが絶叫を上げた。「嫌だァーッ!! 死にたくないィーッ! だずげで~ッ!! 小林隊長ォ~ッ!! どうかァ~ッ!! どうかお助けをォ~ッ!!」男泣き過ぎる……
「佐々木ィーッ!! お前ら!! 佐々木の救命が先決だ!! 総員掛かれェェェェーッ!!」「「うおおおーッ!!」」
ペトペトとライフル銃で攻撃するも、痛みどころか何かが当たっている感覚すらない。
佐々木さんは虫網の中で号泣しながら阿鼻叫喚してる。
……ヤバい。何か俺、魔王にでもなったかのような絶対的な力を手にした感……!
虫網の中にいた佐々木さんを優しく摘まんで、虫かごの中にインしてあげた。
「アアアアーッ!! 嫌だァーッ!! 死にたくないィーッ!! 誰かァ~ッ!!」虫かごの中で泣き喚く佐々木さん。
「「「佐々木ィーッ!!」」」小林隊長、杉本さん、飯田さんの三人がめっちゃ泣き叫んでる。
……何だろう、胸が痛んで仕方ないけど、加虐の心がくすぐられまくりなんだなぁ……
その時だ。プルプルプルプルとしゅごい小さなプロペラ音が聞こえてきた。
音源を辿ると、本棚の上からしゅごい小さな戦闘機が俺に向かって飛んできてた!!
「待たせたな! 空爆支援を届けに来たぜ!!」小さな戦闘機の中にも小人がいる!「喰らえーっ!」
プリッと戦闘機から射出されたミサイルが、俺の腕にポトッと当たった。今回は質量こそ感じたけれど、痛みはやっぱり無い。
「うわぁー、飛んでると流石に虫感あるなぁ」しかし遅いので容易に摘まめる戦闘機だ。「これも虫かごに入れちゃおう」摘まんだ戦闘機を虫かごにインする。
「アアアアーッ!!」戦闘機の中から阿鼻叫喚が弾けた!「嫌だァーッ! 死にたくないィーッ!!」
「「「空爆支援~ッ!!」」」しゅごい泣き叫んでる……
……何だろう、別に悪い事をしてる訳じゃないんだけど、全員虫網で捕まえて虫かごにインしてあげた。
「「「「「アアアアーッ!!」」」」」虫かごの中でめっちゃ泣き叫んでる……
「ニャーッ!! うるさいニャーッ!!」遂にニャッツさんが起きた!「ニャ? 師匠、何してるニャ?」
「何してるんでしょうね……」自分でもよく分からない……「この小人って、ニャッツさん知ってます?」阿鼻叫喚してる虫かごを見せてみる。
「ンニャ? 妖精じゃニャいか」グシグシと顔を撫でながら呟くニャッツさん可愛い。「我が輩の部屋の妖精を捕まえてくれたのニャ? サンキューニャ!」タシーンッ、と俺の足の甲がぷにぷに肉球で踏まれたーっ!
「あっ、やっぱりこれ妖精さんなんですね」虫かごを改めて見ても、相変わらず男泣きしてる軍人小人にしか見えない。「これ、どうしたらいいんですか?」
「ニャ? 飼わニャいニャら殺せば良いんじゃニャいかニャ」
「……」

◇◆◇◆◇

「……」
と言う訳で自室の机の上に虫かごを設置して、妖精さんを飼う事になったのだけれど……
「アアアアーッ!!」「死にたくないィーッ!!」「嫌だァ~ッ!!」「アアアアーッ!!」
鳴き声がその……あまりに絶望色が濃過ぎて何だこの地獄絵図は……
これ今夜眠れるのかな俺……と白目を剥かざるを得ない奴だった。

【後書】
いつの間にか3ヶ月振りとかになってました!w お久し振りです!ww
と言う訳で妖精さんのお話です。と言いながら日本兵感満載の妖精さんですが!(笑)
そんなこったでまたふんわり綴って参りますよう!※定期 因みにこの妖精さんのお話、もう一話続きます! お楽しみに!w

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れ様ですvv

    ほんとだ、ほぼ3ヶ月たってるしwごぶさたで~すvv

    妖精さんといえば咲希ちゃんのような姿・形を想像しちゃいますよねぇ。
    ところが軍人さんだーw
    彼らが何をしでかすのか、+(0゚・∀・) + ワクテカ +
    例の3人組に勝るとも劣らない活躍を期待してしまいますw

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      ですですwwいつの間にやら経っておりましたwwお久し振りです!w

      咲希ちゃんのような姿を想像してたのを敢えてブレイクしていくスタイルと言う!(笑)
      そのワクテカさえもブレイクされない事を祈ります…!ww
      例の3人組はもうレジェンドですから!wwアレを超えるなんてそうそう…!www

      今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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