2020年4月15日水曜日

【FGO二次小説】マンドリカルドとアヴィケブロンの日常掌編

■あらすじ
マンドリカルドがアヴィケブロンを訪ねるお話。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order マンドリカルド アヴィケブロン 日常

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12718070



「こ、こんつわーっす」
ノックしながら扉を開けて入った来たのは、どこか落ち着きの無さが伺えるマンドリカルドで、部屋の主であるアヴィケブロンは不思議そうに「おや」と声を上げて振り返った。
「珍しい客人だね。僕に用かい?」
ゴーレムを改良していたのだろう、粘土細工のような人型を床に戻し、マンドリカルドに顔を向けるアヴィケブロン。
マンドリカルドは「えぇっと……」と言い難そうにどもった後、明後日の方向に首を捻り、暫し逡巡した後、後頭部を掻きながら小声を漏らし始めた。
「何つうか……マイフレンド……いや、マスターに、友達を増やしてえって言ったら、陰キャ同士、アヴィケブロンなんかどうだろうって紹介されて……」
「僕が口にするのも何だが、君はよほど人付き合いが苦手と察したよ」やれやれと溜め息を吐き散らすアヴィケブロン。「仮に友人を求めて僕の顔を観に来たのだとしても、開口一番それでは、あまりにも印象が悪くなると思わないかい?」
「も、申し訳ねぇっす……」しょんぼりと肩を落とすマンドリカルド。「俺、その……何つうか、距離の詰め方とか全然……分かんなくて……ほんと申し訳ねぇっす……」
「……いや、僕は説教できる立場ではないし、寧ろされる側なのだがね。そう畏まらなくても良い、僕自身も人付き合いは嫌忌している方でね、君の気持ちは察するに余りある。だから気にするな」
そう言って背を向けるアヴィケブロンに、マンドリカルドは何と無しに二の句を継げずに見つめてしまう。
「アヴィケブロンはその……何て言うんすかね、マスター以外の別のサーヴァントと付き合う必要性を感じてない、って事なんすかね」
「……」
てっきり申し訳無さそうに退室するものとばかり思っていたアヴィケブロンは、会話がまだ続く事を想定して椅子ごと振り返った。
マンドリカルドを正面に見据え、億劫そうに腕を組む。
「必要以上に慣れ合うつもりが無いだけで、交流自体は最低限必要であると思っている。伝達系の齟齬が生じるのは、戦闘に於いては決定的な問題になる可能性を孕んでいるからな」
「いやぁ、それもそうなんすけど、アヴィケブロンって、その……頭が良い系っつーか……カバラ、だったっすか? 魔術にも或る程度の見識が有って、ゴーレムに関する知識では右に出る者がいない天才……なんすよね? だったらこう、そういう識者や碩学と話し合いとかは……」
「あぁ、それは特段。今にしても、マスターの依頼と言う態で君の話を聞いているに過ぎない」
「そ、そっすか……」
言い難そうに口ごもるマンドリカルドを見やり、アヴィケブロンは仮面の奥から小さく鼻息を落とした。
「君も、僕のような世捨て人を相手にする必要は有るまい。幸いこのカルデアには、交流を率先して行うサーヴァントは幾らだっている。僕に固執する道理は無いだろう」
「それは……」
言い澱み、けれど意を決したように、マンドリカルドは口を開いた。
「道を踏み外してしまった経歴が有る俺だから言えるのかも知れねぇっすけど、アヴィケブロン。あんたと今接して思ったんすよ。あんたも俺みたいに、道を踏み外して欲しくねえな、って」
「……!」
それは、霊基に刻まれた傷口を容易く抉る、魔の呪言だった。
そうだ、一度は踏み外したのだ。いつかの聖杯大戦。彼方に置いてきた楔。
アヴィケブロンは暫し重苦しい沈黙を返した。
それに対してマンドリカルドはハッと我に返り、突然アワアワと慌てふためきだす。
「か、重ね重ね申し訳ねぇっす! 俺、そんな、アヴィケブロンの事、何も知らねえのに知った口利いちまって――」
「……いや、構わないよ。ただ、僕にとってはあまりにも、……いや、何でもない」
マンドリカルドの謝罪を制止する形で手を挙げたアヴィケブロンは、ゆっくりと立ち上がると、戸棚に入れてあったコーヒーメーカーとマグカップを二つ、取り出した。
それを不思議そうに見つめているマンドリカルドに、アヴィケブロンは肩を竦めて振り返った。
「世捨て人の話を聞きたいんだろう? 僕も少し、休憩を挟もうと思っていたところだ。コーヒーを愉しむ間ぐらいなら、君に付き合ってやっても良い」
そう言ってコーヒーを淹れ始めるアヴィケブロンの背中を見つめながら。
マンドリカルドには見えていなかったけれど、何故か、アヴィケブロンの表情が今、笑みを浮かべているのではないかと、そんな想像をしてしまうのだった。

【後書】
綴ったはいいものの、投稿するタイミングをすっかり逸していたので思い立ったがぺいっ! です!!
二人とも推し鯖で、且つ弊カルデアに在籍していると言う事で、友達から「この二人の話でも綴ってみたら?」とお勧めされ、ふと思い立ったのでサラサラっと綴り上げた作品になります。
何と言いますか、何だかんだ仲良くなりそうなんですよね、この二人。波長が合うと言いますか何と言いますか…w
そんな訳で、こういう形で、あんまり接点の無い鯖同士を絡ませるのも愉しい…中々面白いので、また機会が有りましたら続きとか、別の絡みとか、綴ってみたいと思いまする! んではでは!

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