2020年6月8日月曜日

【轟爆】一緒に帰る理由【僕のヒーローアカデミア二次小説】

■タイトル
一緒に帰る理由

■あらすじ
爆豪に「一緒に帰らないか?」と訪れる轟の話。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

■キーワード
僕のヒーローアカデミア 腐向け 爆豪勝己 轟焦凍 轟爆


Pixiv■
■一緒に帰る理由


「爆豪。今日一緒に帰らないか?」
 授業を終え、下校時刻になって間も無く。轟が爆豪の席に足を運び、真顔でそんな事を宣った。
 爆豪は一瞬、間の抜けた表情を返した後、「は?」と苛立ちの混ざる返答を吐き出した。
「何でテメエと帰らなきゃならねンだボケ」
「ダメか」
「理由言えや。理由次第では殺す」
 ガンガンにメンチを切る爆豪に、轟は悄然と俯くと、「いや……」と言い難そうに首を掻いた。
「爆豪なら、一緒に帰ってくれると思って」
「あァん!? 何だコラ、俺ならってどういう事だクソボケ!?」
「いや、悪ぃ。無理なら良いんだ。じゃあな」
「待てや」
 轟の手を引き、表情筋が歪み切った嫌悪感剥き出しの顔を見せつける爆豪。
 それに対し、轟はきょとんと不思議そうに見返す。
「俺ならって何だ、俺が誰彼構わずついてくクソガキって認識ならここで殺す今殺す即殺す」胸倉を掴み上げ、鋭い殺気を混ぜ込んで睨み据える爆豪。「それとも一人で帰る事も出来ねえ甘ちゃんに成り下がったのかテメエ?」
「……友達って、一緒に帰るもんだと聞いた」
「は?」再び間の抜けた表情を返す爆豪。
「今まで友達らしい友達が出来なかったから、よく分かんねえんだ」爆豪を正視する轟。「爆豪の事は友達だって思ってるんだが、俺の勘違いだったか?」
「……」
 爆豪は間の抜けた表情のまま固まっていたが、やがて盛大に溜め息を吐き出すと、自分のカバンを引っ手繰って歩き出した。
 轟はそれを見送る形で立ち止まっていたが、数歩歩いた先で爆豪は立ち止まると、「何突っ立ってんだボケ!! とっととついてこいや!!」と怒号を張り上げた。
 それが自分に向けられた言葉であると認識した轟は、「あぁ、悪ぃ。今行く」と駆け足で爆豪の隣に並ぶ。
「良いのか?」
「何がだカス」
「一緒に帰っても」
「テメエが勝手についてきてるだけだろが勘違いすんな」
「さっきついてこいって」
「黙って歩けねえのかテメエは!?」
 再び叫喚を上げる爆豪に、轟は先ほどより柔らかい表情で「……悪ぃ」と呟いた。
「つか、隣歩いてんじゃねえ、後ろ歩けや」
「爆豪。友達は連れ立って歩くものじゃないのか?」
「後ろ歩けっつってんだよボケカスが!!」
「お前の後ろだと、話がしにくいだろ」
「ごちゃごちゃと……ッ!!」歯軋りしながら手のひらの中で爆破しまくる爆豪。「俺じゃなくても友達いるだろがテメエはァ!! 一々俺に突っかかんな!! 殺すぞ!!」
 苛立ちに塗れた怒声を張り上げて、やっと轟が静かになったのを見て、舌打ちしながら振り返りもせずに先を進む爆豪。
 斜陽の射し込む廊下を、リノリウムを踏む音だけが支配していた。
「俺は、爆豪。お前と友達になりてえんだ」
 キュッ、と上履きがリノリウムを擦る音が追ってくる。
 爆豪は不愉快そうに眉根を顰めた後、再び聞こえよがしに舌打ちを返した。
「何でッ」
「お前の事ばかり考えちまうからだ。つまりこれって、友達って事だろ?」
 振り返ると、相変わらず何を考えているのか分からない、表情筋が息をしていない轟の顔が有った。
 素面でこんな狂った事を言えるのは、間違いない、轟だ。そう改めて確認した爆豪は、怒りなのか羞恥なのか分からないまま、顔を夕暮れに染め上げた。
 サッとそっぽを向き、返事もせずに廊下を突き進む。
 本当に訳の分からない奴だと、思考がズタズタに破断されながらも、心の片隅で喜色が滲んだ事が、本当に腹立たしかった。
 結局、帰り道は殆ど口も利かなかった爆豪だが、その一部始終を見ていた緑谷曰く、「あんなに嬉しそうなかっちゃん、久し振りに見たよ」との事だった。

【後書】
 轟爆の短編は約二年振りになります。時の移ろいの速さに心臓麻痺起こすよこれ…
 久し振りに綴ってみるか~と筆を執ってみましたが、サクリとネタが出てくる辺りまだまだ旬だなと…!※当社比
 一応時期的にはまだ寮生活が始まってない頃と思ってくだされ…! ガバ設定で申し訳!w
 またネタがポポッと出てきたら投稿しに参りますゆえ、どうかお楽しみに~♪

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