2021年10月5日火曜日

【FGO百合SS】12話「エレモーに現代デートさせたい奴#3」【エレモー】

■あらすじ
エレシュキガルとモードレッドに現代日本でデートさせたい奴です。今回はデート完結編。

■キーワード
FGO Fate/Grand Order エレシュキガル モードレッド 百合

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【pixiv】の二ヶ所で多重投稿されております。

Pixiv■https://www.pixiv.net/novel/series/1018872
■第12話

12話「エレモーに現代デートさせたい奴#3」


「カフェに行った後はどこ行きゃ良いんだ?」

 カフェで一頻りスイーツと甘~いコーヒーとミルクを堪能した二人は、再び外に出て街路を散策していた。
 エレシュキガルは「ん~、特に目的地の指示は無かったけれど、よくある流れだと、映画館に行ったりとか、水族館とか動物園とか、二人で一緒に眺めて楽しむ場所に行く……のだと思うのだわ、うんうん」と思いつく限りの情報を開示しながらモードレッドの隣をのんびりと歩く。
「映画館ねぇ……」モードレッドは不服そうに眉根を顰めるも、「ま、良いか。ン~なら映画館行こうぜ映画館!」と、あっと言う間に思考を切り替えて映画館を探し始めた。
「モーちゃん、切り替えの早さが凄いのは……騎士だから……なのかしら?」
 不思議そうに問いかけるエレシュキガルに、モードレッドは不敵な笑みを覗かせて肩を竦めた。
「エスコートする立場の騎士が四の五の言ってたらレディに失礼だろ」
「あっ、そういう……」
 思わず納得して、急激に顔が熱くなってくるエレシュキガル。
 確かにデートをするように令呪を切られ、且つモードレッドは騎士ではあるのだが、そうも何度もレディと自覚させられるように囀られると、段々とその気になってしまう。
 モードレッドは普段、気性こそ荒いが、こういう時に確り紳士な振る舞いをしてくれると言う事がまずギャップで胸がときめくし、更にその振る舞いに白々しさもよそよそしさも無く、自然と出来ていると言う事がもうエレシュキガルの心臓を壊しかけない程に鼓動を早まらせる。
 今回はマスターである浮世とマシュのため、と言う名目上仕方なくと言う前提が付くので、モードレッドもその期待に応える形で奮闘しているのだろうが、エレシュキガルとしては、何れ本当に彼女とそういう付き合いが出来れば良いなぁ、などと妄想を膨らませてしまうのだった。
 恋人同士……とまでは行かないまでも、友達同士として、一緒にショッピングを楽しめるような、そんな仲に……
「おい、エレ公、どうした? 行かねえのか?」
「あっ、ごめんなのだわ! 今行くから~!」
 ……とは言え、紳士な振る舞いをしているにも拘らず、呼称が「エレ公」である時点で、レディ扱いではないのではないかなぁ、などと思ってしまうエレシュキガルなのだった。

◇◆◇◆◇

「映画館見つからねえな……」「うん……」
 大きな街を散策しているものの、目当てのシアターがいつまで経っても見つからない事に、段々と不安と苛立ちが募っている……と言う訳ではなく、二人は物珍しそうに周囲を彩る花や雑貨屋などに視線を向けては、感想を言い合って楽しんでいた。
「デートってこんな感じなのか、なるほどなぁ」エレシュキガルの隣を歩きながら楽しそうに八重歯を覗かせるモードレッド。「ただよ、エレ公は楽しめてるのか? オレばっかり楽しんでるようじゃ、デートって言えねえと思うが」
「勿論楽しんでるのだわ!」表情が華やぐエレシュキガル。「寧ろモーちゃんこそ楽しめてるか心配していたのだけれど、杞憂だったみたいで今ホッとしてるところ」
 互いに笑い合い、改めてのんびりと散策を続ける。
「こんな風に、誰かと一緒に歩いて世界を見て回れる……それだけで、私の夢は叶ったって言っても過言じゃないのだわ」
 懐かしむように、過去に想いを馳せるように、遠い昔日の或る日を覗くように、エレシュキガルがポツリと吐露を零した。
 モードレッドはそれを何気無く聞き、彼女がサーヴァントとなる前の、まだ冥界の女主人として冥界にいた頃を想像する。
 自由など有って無い、無尽蔵に送られてくる霊魂を相手にするだけの生活。モードレッドには想像する事も出来ない、未知の世界に違いなく。
 だからこそ彼女がうっかり漏らしたその言葉が、本音以上に感情が込められているように感じられて。
「――この程度で夢が叶ったって言って良いのか?」
「……モーちゃん?」
「世界は漂白されちまったけどよ、シミュレーターが有ればどこにだって行けるんだ。どこにだって連れ出してやるよ、叛逆の騎士であるこのオレがな!」
 胸を叩いて主張するモードレッドに、エレシュキガルは一瞬呆けた表情を返してしまう。
「……何だよ、オレじゃ荷が重いってのか?」
「あっ、ごめんなさい、そうじゃないの」ふるふると首を振って、エレシュキガルは嬉しそうに微笑む。「……有り難う、モーちゃん。モーちゃんとなら、どこに行っても楽しそうだなって。だから、その時は……お願いします、なのだわ」
 愛の告白でもしたかのような気恥ずかしさで、二人はあっと言う間にのぼせる程の血流を顔面に注ぎ込み、互いに俯いて、「お、おう……」「う、うん……」と何も言えなくなってしまうのだった。

 その後、マスター浮世から「参考にならぬぇ~! 有り難う! でも参考にならぬぇ~!」と言う通信が入り、感情の行き場を探していたモードレッドによるクラレント・ブラッドアーサーでノウムカルデアが一瞬崩壊したとか何とか。

0 件のコメント:

コメントを投稿

好意的なコメント以外は返信しない事が有ります、悪しからずご了承くださいませ~!