2019年11月17日日曜日

【ネトゲ百合】第3話 言えない台詞、消えない想い【オリジナル小説】

■あらすじ
ネトゲで好きになってしまった相手は、きっと異性だと思っていた。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】で多重投稿されております。

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【第3話 言えない台詞、消えない想い】は追記からどうぞ。

第3話 言えない台詞、消えない想い


◇◆◇◆◇>>ジン<<◇◆◇◆◇

座長「細菌寒くなって北から、ちゃんと温かくするんだよー」

 ログインしてデイリークエストを終わらせた辺りで、おっさん……座長からチャットが飛んできた。
 何気無い、いつものチャット。私はその誤字だらけの文面を見てニヤニヤと口角を上げてから、のんびりと寝転がってチャットを打ち返す。

ジン「誤字酷過ぎだろww」
座長「ぬぬぬ!」
ジン「おっさんも体冷やすなよー(笑)」
座長「おう!」

 いつもの日常会話をしている最中に、ふとチャットの入力欄に、何も考えないままに指を走らせる。

【おっさん、好きです】

 まだ発信してないのに、動悸と眩暈で呼気が乱れていく。
 これを送信すれば、もう元には戻れないだろう。それが分かっているからこそ、私の心臓は絶叫を奏で、視野はどんどん狭まっていく。
 ふぅー……と細く長く息を吐き出して、チャットを削除する。間違って送信しようものなら、座長にどんな目で見られるか、分かったものではない。
 ……けれど、いつか。いつか……この想いを、座長――おっさんに、伝えたい。
 でも、今じゃない。きっといつか。いつ来るか分からない、彼方の自分に期待して、私はそっとこの想いを秘める。
 でも……今言えなかったら、いつ言えるんだろう。その時って、もしかして、自分で選ぶまで、ずっと来ないんじゃないかなとも、思ってしまうのだ。
 想いを伝えられる時まで、絶対にいてくれる訳じゃないのだから――――

◇◆◇◆◇>>座長<<◇◆◇◆◇

ジン「先に寝るーおやすー」
座長「おう、おやすみ(^^)/」

 ジン君がログアウトをした後を見計らって、あたしは缶ビールを一つ開けて、ちびりちびり飲みながら、ぼんやりとスマフォの画面を見入る。
 あたしは確かにジン君が好きだけれど、ジン君があたしを好きだって確信は無いし、年頃の男子高生だもの、あたしのようなオバサンより、同年代の女子高生に惹かれるのも止む無し、なんだよねぇ。
 だったら、あたしの想いは伝えるべきじゃないって分かってるんだけれど……迷惑だって、言う前から分かっていても、それでも……ね。燻る想いは、そう簡単に消えてくれるもんじゃない。

【ジン君、あたしと付き合ってみないかい?】

 チャットの入力欄に打ち込んでから、自分のアバター……明らかおっさんのキャラクターを見て、違和感の極致から笑いが込み上げてきた。
 こんなおっさんキャラが、突然告白してきたら、そんなの事案だよね。ドン引きされて、それで疎遠になる未来なんて、想像する事すらバカバカしいぐらいに、鮮明に見通せる。
 それに……浮いた話一つ聞いてないジン君だけれど、もしかしたら既に想い人がいる可能性だって有る。そんな折に、何でまたこんなネトゲの中の、リアルの不鮮明な人間に告白されなければならないのかとか、考え始めるとどんどん闇に落ちていく実感が有る。
 ……やめだやめ。夜気って言うのは、人をネガティヴに陥らせる魔力が有るんだ。とっとと寝て、明日また彼と楽しくチャットに華を咲かせよう。
 いつか……この想いを言葉に出来る日を信じて。
 そんないつかが有るのか、分からないけれどね。
 彼だって、何れ社会人になって環境が変わり、ネトゲにインしなくなるかも知れないのだ。
 今しか、こうして楽しく話せる機会は、無いかも知れないのだ。
 迷惑と自己満足の狭間で、あたしは悶えながら消灯する。
 いつかきっと。魔法の言葉だ。そんないつかも、きっとも、夢幻に過ぎない。
 ……でも、そんな魔法に甘えてしまいたいんだ。怖いからね。
 だからそう。そんないつかも、きっとも、来なければ良いなんて、そんな幻想を夢見て、今日も終わるのだ。
 明日も、彼がいつもの空気を纏ってそこにいてくれる事を信じて――――

【後書】
 ここ二週間くらいバタバタしてたのですけれど、ようやっと落ち着いてきたかな? と思えるので執筆活動再開です!
 言うて昨日【神否荘】更新しましたけれど!w FF14のレベリングが一段落したのと、ゴタゴタが収束に向かってると判断して、ちょこちょことね、物語を執筆する時間を捻出して参りたいですよね…!
 と言うわたくしの裏事情はこの辺にして、第3話! ネトゲのチャットって、打ち込んでから、送信、と言う二段階認証みたいな要素が有りますから、打ち込んでから、何か違うな…と、打ち込んだテキストを削除したり、推敲したりするの、有ると思います!
 わたくしはパソ子のタイピング速度が中々な速度なので、打ち込んでから、相手がチャットを差し挟まれると、大慌てで削除して、改めて相手の返信にテキストを切り替える、なーんて、実はザラだったりするので、こういう、「送信したらヤバいチャット」みたいな奴も、実は…(モニョモニョw)
 因みに第4話のネタが第3話の時点で仕上がっておりますので、次回も近い内に投稿しに参りますゆえ、そちらもお楽しみに!

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れさまですvv

    毎回読むたびに切なくて切なくて、きゅーってなってしまいます。
    「画面の向こうにいるのはNPCでなくて人間なんだぜ。それをよく考えてチャットするんだ。」
    って教えられて今まで来ましたが、ちゃんとできてるかな?ってたまに心配になります。
    ジン君と座長は問題なしですね。羨ましいですw
    ちょっと冷やかしたり絡んで見たくなりますw

    ほんとこれ毎回楽しみにしてますの!

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想有り難う御座います~!

      (*´σー`)エヘヘ!w きゅーってなって頂けたのなら幸いです…!
      Gameの中とは言え、相手は生の人間と言う感覚が、どうしても抜けてしまってる…? いや大丈夫かな…? みたいな心配って、たぶんずっと付き纏う問題なのかなーって感じちゃいまする。
      ですですw 彼女らはその辺見てて安心できると思います…!w
      確かにwwそういうちょっかいを掛けたくなる気持ち、分かりますww

      わーい!(´▽`*) 毎回楽しみと言って頂けてめちゃんこ嬉しいです…!!

      今回もお楽しみ頂けたようでとっても嬉しいです~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~♪

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