【神否荘の困った悪党たち】第８１話 その時俺は、皆を止めなければならないのかも知れない。【オリジナル小説】

■あらすじ
ラヴファイヤー君が積み上がってる。

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第１話→https://sakatatsunorou.blogspot.com/2018/04/blog-post_40.html

第８０話→https://sakatatsunorou.blogspot.com/2020/09/blog-post_26.html

第８２話→https://sakatatsunorou.blogspot.com/2020/11/blog-post_27.html



【第８１話　その時俺は、皆を止めなければならないのかも知れない。】は追記からどうぞ。

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第８１話　その時俺は、皆を止めなければならないのかも知れない。

「きひひっ、見つけちゃったよ～ぬほほくぅ～ん」

　この露骨にいやらしい笑い声とぬめぬめの声は……！　遂に出たなアウトサイダーロード！！

　周囲に堆く積み上げられたラヴファイヤー君の陰から、ずずず、とヤバそうなＳＥと一緒に現れたのはまさしく外道王……じゃなくて、シンさん……でもなくて、アウトサイダーロードだった……！

　何故か全裸のアウトサイダーロードは、大事なところを隠そうともせずに仁王立ちしている。

「ウワァーッ！！」思わず顔を逸らすよ俺は！！「何で何も着てないんですかーッ！？！？！」こんな登場は予想の斜め上過ぎるよ！！

「ぐははは、全裸の女を直視する度胸は無いだろう？？　これであたしの方から一方的に攻撃が出来るって寸法なのだぁ～ぐははは」プライドとか無いのこの人？？？

　ともあれアウトサイダーロードの言う通りで、俺は為す術が無かった。

「どうだ？　ん？　攻撃できるか？？　見るかあたしの蠱惑ボディを？？　ん？？？」全裸の女性とは思えない言動の数々である。「どうしようかな～そっちから来ないなら、あたしから行こうかな～？？　ん～？？」どうなってんのこの人の倫理観？？？

「ウワァーッ、来ないでくださいよ～そんなやり方アリなんですか～～～？？」顔が熱い上に逃げ回る事しか出来ないよ俺は。「明らかゲームの主旨が違ってますよシンさーん！」

「ぐははは、勝った方が勝利なのだ」ヤバ過ぎるぅ。「どれどれ、せっかくだからぬほほのあっちの味を一緒に確かめるのもありだな」やりたい放題か！

「ウエェェェーンッ！！　こんな訳の分からない事態で貞操奪われたら堪ったもんじゃないよ～！　助けて～！」どたどたと逃げ回るよ俺は！

「ぐははは、どこに行こうと言うのだね～？」アウトサイダーロードが完全に外道を極めてる。「ぐははは……ん？」

「師匠を……じゃにゃかった、ぬほほを苛めるにゃーッ！　カカァーッ！！」にゃんこがカカァーッしてる！！

　ラヴファイヤー君の屍もろともアウトサイダーロードが蒸発した。あとエキサイティングも一緒に蒸発しちゃった。

「ひえぇ……」ゲームバランスって知ってる？？？

「にゃふぅ……これで一安心にゃ！」タシーンッ、と俺の足に最強の肉球アタックが叩きつけられた。

「てかもう終わってませんこれ？？　もう敵が誰も残ってない気が……」にゃんこ無双だったよね。

　――と、不意にファンファーレが鳴り響き始め、頭の上に「congratulation！」と煌びやかなテキストが浮かんだ。

「ヤッター！　我輩達の勝ちにゃ！　我々の勝利にゃ！」にゃんこの連続タシーンッが俺を襲う！

「ヤッター！」取り敢えず万歳しておく。「それでこのゲーム、一体何なんですか？」

　何も分からない上に、勝った実感もほぼほぼ無いんだけれど。

「にゃ？　科学者から何も聞いてにゃいにゃ？」突然ゲームに叩き込まれましたからね。「我輩達の戦力を数値化して、戦い合わせたらどんにゃ結果ににゃるかチェックするためらしいにゃ」

　……戦力を数値化して、戦い合わせたらどんな結果になるかチェックするため。

　それってつまり、今後もしかしたら彼らとこんな風に、リアルで戦闘行為に及ぶ可能性が有る、と言う事なんだろうか。

　…………味方に回ってくれそうなのが、田中さんとニャッツさんぐらいで、敵側には狂気の塊みたいな人達が回る可能性が……有る？

　想像するだけでぶるるっ、と震えてしまう。

　俺が平和ボケしてるだけかも知れないけれど、あの普段ポンコツな皆が敵に回るなんて事、想定すらしてなかった気がする。

　思えば皆、元はめちゃんこヤバい人達だった訳なんだよね。今は完全に究極困ったさんになってるだけで。

　マナさんの予想がもし実現したら、その時俺は、皆を止めなければならないのかも知れない。神否荘の管理人として。

　……そんな想像、まるで出来ないけれど。

「えぇと、それでこれ、勝利したけれど、いつ帰れるの？？」congratulation！　のテキストが踊ったまま何も動きが無いんですけお。

「分からにゃいにゃ」ぺろぺろと前足を舐めながらにゃんこがテケトーな事を言っている。

　俺はその後、仕方ないのでにゃんこと遊び耽ってたら、いつの間にか自室のベッドに横になってる状態で気づいて、特に何事も無かったかのように夕飯を食べて寝るのだった。

　……結局、マナさんの真意は分からないし、ゲームも謎のままだったけれど、その日の夜は何だか眠れなくて、色々考えてしまうのだった。

　もしかして俺は、正しい意味で何も知らなくて、今後どうなるかも考えていなかったのかな、なーんて。