【神否荘の困った悪党たち】第８６話 弁明の余地なしでしょこれ【オリジナル小説】

■あらすじ

後藤さんの評価駄々下がり。

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第８５話→https://sakatatsunorou.blogspot.com/2021/01/blog-post_17.html

第８７話→https://sakatatsunorou.blogspot.com/2021/03/blog-post.html

【第８６話　弁明の余地なしでしょこれ】は追記からどうぞ。

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第８６話　弁明の余地なしでしょこれ

「次は一番掛かったらやべー奴に掛けるぞ。泥科婆さんだ」

　誰？　って思ったけど、そうだった、マナさんの苗字って泥科って言うんだった。

　掛けるぞ、って言いながら中々掛けようとしない犬野さんを眺めながら小首を傾げる俺である。

「掛けないんですか？」

「いや……流石に学ぶだろこれ。こんだけ頭おかしい展開が目白押しで、次があの痴呆と難聴が狂い混ざり合ったイカレポンチだぞ？　俺は断言する、オレオレ詐欺で死人が出る可能性が有る、と……」

　犬野さん、真剣に話してるんだろうけど、何だってオレオレ詐欺する側が命の危機に怯えてるんだ感がしゅごいね。

「おっ、マナ婆さんの電話はやべーぞ、心して掛けないと暫くご飯が七十杯しかお代わりできなくなるし、夜も朝も昼も眠れるようになるし、最悪筋肉までバキバキに付いちゃうかもだぜ」良い事尽くしじゃねーかナモ～。

「このナモって奴に掛けさせても良いか？　俺は死にたくない」この警官、段々と本性出して来たな？？

「おっ、良いぜ。俺がオレオレ詐欺の手本って奴を見せてやるよ」見せるな見せるな。

　メイちゃんにマナさんに掛けるように頼んでみた。

「もしもし～」マナさんが出た！「泥科ですが～」

「おっ、オレオレ！　オレダヨオレ！　アイアムオレ！」どこの国の人の設定で掛けてるのナモ？？

「あら、後藤君？　後藤君かしら～？」後藤さん、そんな奇抜なテンションで掛けてくるのか……いや確かにそんな気がしてきた、後藤さんならやりかねない……

「ソウイエス！　オレ、後藤ダヨ～オーイエー」後藤さんの設定ガバガバ過ぎるよナモ～。「チョットアレダヨ～、金クレヨ～、チョットクレヨ～、ハヨクレヨ～」これは流石にマナさん怒りで脳髄爆発しないかな……

「あら～？　後藤君……もしかして、こないだのお給金じゃ足りなかったの……？」うせやん……マナさんこのガバガバ設定後藤さん信じちゃうの……？　寧ろ普段マナさんと話す後藤さんこんな感じなの……？　いやそんな気がしてきた……後藤さんなら有り得る……「つい一昨日七十八兆ドル支払ったばかりなのに、もう足りないの……？」なにて？？

「オウイエェ……チョットーツカイコンジャッテー。ハヨ金クレー、モットクレー」もしかしてナモ、後藤さんを社会から抹殺したいとかそんな感じ？？

「もう、仕方ないわねぇ……今から七千五兆ドル振り込んでおくから、それで来週まで凌ぐのよ？」なにて？？

「オウイエェ……オウシッツ！　銀行口座カエタンヤデー、イマカライウトコフリコンデー、イソイデフリコンデー」

「はいはい、分かってますよ、いつも常に新しい銀行口座に振り込んでいるじゃない～もう、お婆さんをからかっちゃダメよ～、うふふ」

「オウイエェ……デハコノ口座ニヨロー、アクシローアクハラエー」

「はいはい、今行きますからね～」

　通話が切れた。

　ナモが会心の笑みで振り返った。

「まっ、この主人公補正が入った俺に掛かればこの程度、お茶の子さいさいって言うか、まぁ児戯だよね児戯」

「……そうだな、まさかオレオレ詐欺の現行犯が目の前にいるなんて事案、そうそうないからな。ちょっくら逮捕しとくわ」

　ガシャン、とナモに手錠が掛かった。

「ん？　見ろにーさん、俺の手がロックされた。ボスケテー」

「いやまぁ、弁明の余地なしでしょこれ」

「そんなーしょぼーん」

　……その後。

　ナモは留置所に叩き込まれたのかと思いきや、マナさんの何かしゅごい権力的なアレで犬野さんを説き伏せて、五分くらいで帰ってきた。

　俺は何の茶番を見せられてるんだ？？

　そして更にその後、後藤さんが呼び出されて散々犬野さんに尋問されて帰っていくのだが、それはまた別の話。後藤さん訳も分からずめちゃんこ詰られて泣きべそ掻きながら帰っていったけど、同情して良いのかだいぶ怪しいラインなんだよなぁ……