2022年10月13日木曜日

【神否荘の困った悪党たち】第91話 なもなも【オリジナル小説】

■登場人物
・二糸亞贄(フタイト アニエ)/主人公。神否荘(かみいなそう)の管理人。苦労人。
・奈森崋斬(ナモリ カザン)/通称ナモ。アニエの唯一の友達。やっぱり何かおかしい。
・ニャッツ・ネコランド/通称ニャッツさん。喋る猫。なもなもこわい。
・式子(しきこ)/通称式子さん。可愛らしい式神。仕草が一々可愛い紙。
・犬野堀公(イヌノ ホリキミ)/通称犬野さん。不老不死の駐在さん。いつも怒ってる。

■あらすじ
・神否荘の皆にルァインを布教しようとしてたらナモが玄関にクルマを突っ込んで来た。あとニャッツさんのスマフォーンにはルァインを入れる事に成功した。

▼この作品はBlog【逆断の牢】、【カクヨム】の二ヶ所で多重投稿されております。



【第91話 なもなも】は追記からどうぞ。

第91話 なもなも

「ナモさんは神否荘に何か恨みでも有るんですか!? 毎回毎回玄関を滅茶苦茶にして! 今度と言う今度は許しませんよ!」

 式子さんがカンカンになってナモを正座させている。強い。
 ナモはスマフォーンを弄りながら話を聞いている素振りが無い。更に強い。
「聞いてるんですか!?」式子さんの怒りゲージがマックスだ!「ナモさん! ナモさん!」へしへしと紙の体で必死にナモの膝を叩いているのが可愛過ぎて俺はスマフォーンで撮影したくて仕方なかった。
「ん? 式子さんもルァイン入れる? 入れようか?」ナモが何にも話を聞いてなくてダメ。「スマフォーン貸して式子さん」しかも強引過ぎるまである。
「え? スマフォーン? ルァイン? 何ですそれ?」式子さんが困惑してる。「そんなので騙されませんよ!」
「見て式子さん、これニャッツさんとのやり取り」ナモがスマフォーンを見せてる。待って、もうやり取りしてるのズルい俺もニャッツさんとやり取りしたい。

ナモ「にっつこん~おれの発現見えてる?」
ニャッツ「何だー? 誰だおまえは! 名を名乗れ!」
ナモ「おれおれ。なもなも」
ニャッツ「誰?」
ナモ「なもなも」
ニャッツ「知らん帰れ!」
ナモ「なもなも」
ニャッツ「帰れ!」
ナモ「なもなも」
ニャッツ「何だこいつはー! ずっとなもなも言ってくるこわい! 誰か助けて!」
ナモ「なもなも」
ナモ「なもなも」
ナモ「なもなも」
ナモ「無視しないで」
ナモ「なもなも」

「地獄絵図過ぎて草も生えない」俺はニャッツさんの心労を思って合唱しておいた。
「これは……あっ! 亞贄さんがやってたネトゲ? に有った機能ですね! 確か茶アートとか言うんでしたっけ?」式子さんの発音が不穏過ぎて別の何かの事を言ってる気がしてならない。
「チャットねチャット。何かこう、このスマフォーンで、たぷたぷして、遠い人と話をする的なアレだよ」頑張って説明したから褒めて欲しい。
「なるほど……文明の利器って奴ですね」紙の体で何とか腕を組もうとしている式子さん。「私達の時代だと念話で何とかしてましたけど、当世ではこういう便利なものが有るんですねぇ~」念話って日常会話に出てくる単語なんだ。
「式子さんもやらないこれ?」ナモがしゅごい勢いで勧めてくる。「これが有れば、式子さんわざわざ分裂した式子さんを飛ばさなくても連絡取れるお、俺と。あとにーさんと」俺はおまけみたいな言い方ヤメテ。
「むむ……私の存在意義が失われそうな気がします……」しゅぅーん、と俯いちゃう式子さん。「私ならどこでも連絡が取りに行けるのに……」しょげしょげし始めちゃった。
「どうすんだにーさん、式子さん泣いてるぞ」やれやれと言った態だけどお前のせいだからナモこら。「仕方ねーな、式子さん、ここは俺に任せろいど。式子さん用のスマフォーン作るから」なにて??
「私用のスマフォーン……?」式子さんがキョトンとしている。「いやあの、私自身が連絡を取れる……」
「あ、もしもし? 俺俺。そうそう。俺俺。うんうん。俺俺。おういえ。ほなな」突然スマフォーンで通話し始めたかと思ったら、すぐに終わったナモは、式子さんを見つめてサムズアップを見せた。「今大至急で式子さん用のスマフォーン発注掛けたから、あと一時間くらい待っててちょ」今更だけどナモって何者なんだこいつ。
 式子さんが驚いた雰囲気でわたわたし始めた。
「あの、えぇーっと、そ、そんなのに釣られませんよ私は! え、あの、私用のスマフォーンってどういう……?」釣られかかってるよ式子さん! 寧ろもう釣り針が口の中だよ式子さん!
「何かこう、念の力でチャットできる的な奴」ナモが雑にやべー説明を始めた。「これで式子さんも自由に俺達とチャットできるぜやったなぁおい」それはまさしくやったなぁおいだね。
 式子さんが見る間に嬉しそうに小躍りし始めた。うんうん、俺も嬉しいね。
「し、仕方ありませんね……」恥ずかしそうに咳払いし始める式子さん。「でももう玄関に突っ込むのは止めてくださいね? 何で駐車って概念が無いんですかナモさんは? 毎回神否荘に来る度にクルマを突っ込ませてますけど、普段どうされてるんですか?」
 式子さんが不思議そうに尋ねると、ナモはしれぇーっと答えた。
「ん? いつもコンビニとか会社に突っ込んでるけお」
 俺はそっと犬野さん(警察官)に直電した。爆速で来た犬野さんがその後、ナモを前にゴリゴリの説教をかましてくれたけど、たぶんまだ突っ込むんだろうなって雰囲気がバリバリだった。こいつの馴染みのコンビニ、今どうなってるんだろう……

2 件のコメント:

  1. 更新お疲れさまですvv

    1年と3ヶ月ぶりですって!
    それでも色褪せない彼らの魅力がたっぷり詰まった素敵な箱庭へようこそ!!

    ドブネズミ★ゴリ蔵

    うっかりしててすっかり遅くなってしまったですw
    そして式子さんかわいいwさらにはナモさん素敵!
    あぁ…流れがいかん…狂ったレビューしか書けない…
    なぜだ……

    今回も楽しませて頂きましたー
    次回も楽しみにしてますよーvv

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    1. 感想コメント有り難う御座いまする~!(´▽`*)

      そう! 1年と3ヶ月振りでした!ww
      色褪せてなくてほんと良かった…!ww 素敵な箱庭と言って頂けてめちゃんこ嬉しいぞ~!!┗(^ω^)┛

      ドブネズミ★ゴリ蔵挟んでくるの笑うwwwwwwwwwwwwww

      いえいえ~!w 全然お気になさらぬよう~!ww
      狂ったレビューしか書けないwwwwwwwやはりたこパが全てを上書きしていく…!wwwwww(笑)

      今回もお楽しみ頂けたようで嬉しいでする~!
      次回もぜひぜひお楽しみに~!!

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